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ウメコのテンプル 並行世界の風水導師  作者: うっさこ
追うものと追われるものと
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継ぎ接ぎだらけの予言

「荒唐無稽だ。なぜそのような大きな話になる!」

 そうだよね。うん。そんな大きな話になんでなってしまったのか。

 私もわからない。事件の理由について考えを言わされただけだ。


「実際になっているではないですか。」

 このポンコツ職員はこの話をどこに着陸させたいのだろうか。


 私一人を擁護するために陰謀論を持ち出したとは考えにくいけれど、何か目的があったこの事件と、私を利用しようとしているのだろうか。

 だとしたら、性格が悪いを通り越して、腹黒いと言っていいだろう。


「街の事業を混乱に陥れ、街の警備・街への流通へも攻撃が行われました。死者は三十名を超え、今も昏睡状態の住民が六十名を超え、まだ増える見込みすらある。いつ破裂するかわからない毒もばら撒かれている。これは明確に、街そのものを狙った外敵の攻撃と見ていいでしょう。規模が物語っています。更に、この街の信用と交易計画に深刻な被害が広がっているのです。」


 そういわれるとそういう気になってきてしまうから、質が悪い。

 この職員はポンコツなのだ。

 最悪な事に口が上手い、辻褄合わせが達者な、そういう周囲を巻き込んで盛大に事故を誘うタイプだ。


「待ってください。私は事件の結果だけ切り取って理由を考えただけです。この一連がそうだとは。」

 話に乗って、失敗した時に責任を取らされてはたまらない。

 ここは釘を刺しておかねばならない。


「幾度目になるかわかりませんが、重ねて申し添えますよ。」

 この上、何を言おうとしているのだろうか。誰かこのポンコツを止めないとまずいのではないか。


「現段階に至って、事件解決に対して誰よりも協力的なのは導師様でいらっしゃる。キノコの発見と提出は夜間遊興の事件の本当の姿を浮き彫りにしました。捜査への協力は、司祭様への犯行追求と、街に仕掛けられた毒の発見に繋がっています。そこに加え、未明の騒動の終息へも関与していらっしゃる。」


 うん。うん。確かにだ。確かに私は、部分を見れば私は関与してしまっている。

 でも私は無関係なただの被害者で、或いは巻き込まれただけだ。

 特に最後のものについては全くの誤解だ。


「既に二つ御言葉を頂いています。この段階に至っての『街の警備体制への疑問』。これが未明、導師様の御手を煩わせた、凶行鎮圧後の最初のご指摘です。」


 待って。確かに言った。

 うん、それは確かに言った。

 ただそれは、あんな化け物が闊歩している事に対して言ったのであって、ニュアンスが違う。


「第二に、『未知の存在の示唆』です。死者の顔を持って街に混乱を持ち込んでいる存在がいる。これだけの凶行を重ねた実行犯である司祭様は、そもそも亡くなられていた。これは見誤れば更なる事件が起こる事も指摘下さっている。こちらの情報は、昨日の昼には導師様よりもたらされているのです。」


 うん、うんそう。私が言った。

 言ったのだけれど、飛躍している。

 「枠」を飛び越えてしまった。

 そんな意味で私は伝えたのではなく、私より犯人らしい人が居ると、嫌疑の回避に持ち出した話だ。


「この上で、こちらの嫌疑を知っていて尚、ここにいらして頂いている。こちらにいらしてからの導師様の応対をさらに付け加える必要があれば、喜んで調書に書き加えましょう。」


「ちょっと待ってください。」


 これは駄目だ。こういうのは良くない。

 声が大きい人が事態を振り回す時は、間違った道を真っ直ぐに進んでいるときだ。

 こんな事に巻き込まれては、正直、胃が持たない。


「私はそんな事は望んでいません。勝手に話を進めないでください。大きくしないでください。」

 このポンコツに隠れて成り行きを任せていては駄目だ。

 一回場を壊して、冷静になった方がいい。私がそれをしないと、多分この場は「全力でおかしな方向に向かう」。


 そうすれば、無関係な人たちを大勢巻き込んで、大事になる。

 私はそんな責任を背負い込めない。面倒を見切れない。


「ご覧の通りです。お二人にもお分かりになるでしょう。」

 ポンコツの隣の二人が、「私を」見ている。視線が真っ直ぐにこちらを向いている。


 しまった。認識阻害が解けてしまっている。


「しかし、まさかそんな事が。」

 慌てて、認識阻害をかけなおす。最悪だ。口車に乗せられて、冷静さを失ってしまっていた。


「勿論、追って調査をします。教会への立ち入りを禁止しているのもその調査のためです。司祭殿の身辺の調査はもとより、導師様についても調査は続けましょう。ただ、次の事件への警戒と『未知の存在』の捜索は必要不可欠です。これらは導師様への追求より今、優先すべき街の課題です。」

 上手くまとめたつもり、なのだろうか。

 確かにこの場を切り抜けられそうではあるけれど、私の立場そのものは、当初と違う形でより悪くなっているのではないだろうか。


「というわけです、導師様。どうかもう暫くこちらの街に逗留いただければと。そうして頂けねば、街の正常な運営に必要な人員を、導師様に割かねばなりません。」

 そう、してやられた。最悪だ。


袋小路に追い詰められた。顔も見られている。助けを求める当てもない。

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