絶望と切望。
四章最終話です!短いかもしれないですが…ぜひ読んでください!
それでは続きをどうぞ!!
クロネコに対して俺は自信満々にこう答えた。
「もちろん、黒だ。」
俺がそういうと、日向は目を見開き、俺の事を叩く。
「どう…して!どうして!!母さんの事お願いってゆったじゃん僕は!なのにどうして!!!」
クロネコは黙ったままだ。
俺も日向に叩かれることをそのままよしとしている。反論はしない。
「日向は…お兄ちゃんを助けたくて、ここに………やだ!クロネコさん!僕の命はあげる!だから…だから…!!!」
大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる。
〈それはできないよ日向。これがルールだから。ごめんね。〉
クロネコのいつもの戯けた態度はどこにもなく。ただやさしく微笑んだ。
「なんで!お兄ちゃんを助ける為に協力してってゆったのはクロネコさんでしょ!?このBOXの支配人なんでしょ!なんとかしてよ…。」
日向の悲痛な叫びに、俺は口を開く。
「日向…ごめんな?お兄ちゃんは日向のお兄ちゃんだから、お前を犠牲になんかできない。母さんの事…よろしくな。」
そう言って頭を撫でると日向の嗚咽は更に大きくなった。
〈じゃあ…キミの選択通りに。〉
クロネコの声は無機質なものだった。
「おにいちゃぁぁぁぁぁぁん」
日向の泣き叫ぶ声を最後に、その部屋から日向は消えた。
俺はあんまり言葉数の多い方ではない。
そして人と話すのも決して得意ではない。
2つ下の弟と、時々ヒステリックで過保護な母親、借金ばかりを作るような駄目な父親と四人で暮らしていたが、父はある日よそに女を作って帰らなくなった。
ーーピッピッピッピ…。
俺の弟、日向はそんな状況でも負けず笑顔を振りまいてよく話し、友達を多く作り学校ではそれなりにうまくやっているようだ。
そんな日向が俺の誇りだった。
兄弟とても仲がよく、日向は俺に懐いてくれていたと思う。
ーーピッピッピッピ…。
日向、ありがとう。
最後に会えて良かった。母さんの事、後はよろしくな。
ーーピーーーーーーーー。
泣き叫ぶ少年。
取り押さえようとする看護師。
泣き崩れる女性。
そうして、部屋に医師が駆け込んできた。
これで…良かったんだ。
俺は。
「お母さん。申し訳ありませんが…もう、息子さんは…。」
「先生!そんな…だってこれからじゃありませんか…この子の人生は…!!」
「私達の力が及ばず、申し訳ありません。」
少年の脳内で再生されたのは、不気味なクロネコの声と自分の兄の泣き顔ともとれるあの顔。
困ったように笑う、兄の姿。しゃがみこんで頭を撫でる優しい手。
〈キミノセンタクドオリニ〉
「あ…ぁ…。」
もう…何をしても帰ってはこない。
どれだけ願っても帰ってはこないのだ。
あの不器用で優しい兄は。
「母さんをよろしく…だって?それは…無理だよお兄ちゃん…。」
そう、少年は呟く。
少年の泣き声は声が枯れるまで続いた。
ー第Ⅳ章Endー
四章おわったぁぁぁあ
私が書きながら泣きそうになってましたw
日向と晶
この二人の名前、ひらがな表記してなかったのでちゃんと書いておきますね!
ひなたとひかり
です。
それでは、また次回!