無邪気と邪気
四章終盤。
楽しい?絶望のゲーム。
これ、点数計算とかちゃんとやらないと、ごちゃごちゃしそう。
…とりあえず、続きをどうぞ!
ルームマスターの子供が、頬をさすりながら俺にトランプを渡し、言う。
「お兄ちゃんがシャッフルして?そっちのほうが安心でしょ?」
俺に向けるその視線に悪気は一切感じられない。
「あぁ。」
そう、俺が一言だけ答え、混ぜ始めるとルームマスターはその様子をじっと見ている。
「やっぱりすごいなぁお兄ちゃんは。」
「なにがだ?」
「日向ね、実は未だにシャッフルがうまくできないんだ。」
「こんなの、できるやつはたくさんいるだろ。」
そう言うと、ルームマスターは「確かに」と小さく微笑んだ。
説明されたとおりにジョーカーを抜き、お互いの手元に四枚、場に四枚、残りを山にして伏せる。
ゲームの準備はできた。
「あーと…じゃあ、先攻後攻どっちがいい??」
ルームマスターはこちらへ視線を投げかけ問う。
「先攻。」
そう、俺が答えるとルームマスターはうなずき次のように言う。
「それじゃあ…始めようか、お兄ちゃん。…大丈夫、お兄ちゃんは日向が助けるから。」
モニターにはⅣとルームマスターの日向が向かい合って正座し、カードを取り合う様子が映し出されていた。
「まぁ…ボクは自分の仕事をするだけだけれど。都合が悪くなればすぐ記憶を消せばいいとか、どんなチートだよ~。」
そうボクがいうと、黒巫女が抑揚のない無機質な声で答える。
「私が命令しているわけではありませんので。全ては主のご意思ですクロネコ様。」
そう言って倒れたままのⅤの少女とⅥの少年の前で手を打つと二人とも目を覚ます。
「頭がぼーっとするわ…。」
寝起きの時ようにⅤはぼんやりとしている。Ⅵも同じような様子に見えた。
「やっほー。起きた?キミ達の記憶は一応、名前の部分だけ消させて貰ったよ~?今の状況がわからないならわからないでいいけど、最低限仕事はしてよね~。…いや。いいけどしなくても。」
そうボクがまくし立てるとⅤとⅥはあからさまにイラッとしたようだった。
(わっかりやすー。)
もう少し、ポーカーフェイスとか気にしたほうがいいんじゃないだろうか。
一応、『number's』側からすれば、ここは誘拐犯の巣窟…らしいし。
(ほーんと…ボクらの目的も、日向の言った言葉の意味もわからないんだから。バカだなー…。)
ボクは彼らに内心毒づきながらゲームを見守ることにした。
単純なゲーム。わかりやすいルール。
このゲームにおいてイカサマはまずない。
山札から出てくるカードの順番をいじる、等の不正はあったとして、同じカードが4枚より多く出てきたらその地点でバレるのだ。
手札はオープン、場のカードもオープンとなれば、あとは単純な記憶力で、不正は防げる。
(…と。場にあるカードで、取れるカードがないな…。)
この場合はどうなるのか。そういえばこのルームマスターに訪ねていなかった。
俺が口を開き、
「なぁ…」
とゆったところで、思い出したようにルームマスターは言う。
「あぁ!忘れてたね。ごめん。場に取れるカードがなければ、手札から一枚、出してもらうの。」
俺は手元にあるカードから、一枚、相手の手札に無いカードを置く。
ゲームはまだ終わらない。
するとゲーム中の無言に耐えかねたのか、ルームマスターは口を開く。
「お兄ちゃん…お兄ちゃんはさ、日向のこと覚えてないんだよね…?」
やはり、このルームマスターは俺の事を知っているようだ。
積み札からどんどんカードがなくなっていく。
「…そうだ。」
そう俺がいうと目の前のルームマスターの瞳が揺れたような気がした。
「そっか…。」
それだけいうと、押し黙ってしまった。
そしてゲームは終わる。
「集計しようか、お兄ちゃん。」
ルームマスターの子供…日向の声は、暗く沈んでいた。
今回、クロネコさん視点初…かも?
四章にきてやっと。
…というか、いつもいつも更新時間夜中なのですが!!
暇なときに読んでね…w