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彼女の夢 十六
風花の目は、奇跡的にと言ったらいいのか悪いのか、まだ視力を保っている。
「おい何だよ~風花ちゃんからの愛のメールか?」
「そ、そんなんじゃねえよ。」
「なら見せろよ~!」
「…は?嫌だし!」
俺と宏樹がそんなやりとりを続けていると、和馬の方にもメールが届いたようだ。
「おいおい、和馬も愛しの遥ちゃんからのメールか?」
宏樹はターゲットを変えてそう冷やかす。
和馬は和馬の方で、あのライブの後正式に遥ちゃんと付き合うことになったらしい。
「いやいやそんなんじゃ…。」
「おいおい2人ともいいなあ!」
でも、と言うか何と言うか、別に奈子ちゃんと宏樹は付き合っているわけではない。(まあ仲のいい友達だ。)
「さっ、勉強に戻ろうか。」
和馬はそう言い、俺たちはまた沈黙する。
何せ、俺たちは受験生だ。
『風花。俺、絶対に立派な医者になるから。
あと、試験が終わったら、2人でいっぱいデートしような!』
そう俺は心の中で言い、受験勉強に戻った。
(終)




