彼女の夢 九
そして1曲目が終わると、間髪入れずに次の曲が始まる。
それはみんなが知っている、今流行りのJ―POPのノリノリのアイドルソング。
それを風花は完璧にコピーし、歌って踊っている。
「みなさんありがとうございます!続けて2曲歌っちゃいました!
さっきの2曲はテンション高い系の曲だったので、次はバラードに挑戦したいと思います!」
「オォー!」
ここでステージが暗転し、風花は一旦裏に下がって「早着替え」をする。
そして照明が再点灯し、またその照明は適度に落とされた明るさで、風花の姿がよりきれいに映るよう工夫される。
また衣装の方も、黒が基調のシックなものに変わっていた。
そして、風花はバラードを歌う。
―その曲にダンスはなかったが、しっとりと歌い上げるバラードに会場のみんなは聴き入り、ゆったりとした時間が流れる。
そして、その歌が終わると歓声がどこからともなく沸き、その後のノリのいい曲でみんなのテンションがまた上がる。
そして、楽しい時間もあっという間、次がいよいよ最後の曲になった時―。
「正人、何やってるんだ!」
思わぬ乱入者がライブ会場にやって来た。




