彼女の夢 八
「そして、ライブ経験もないあたしですが、そんなあたしのために素晴らしいステージを用意してくださったあたしの友達、正人、奈子、遥、宏樹くん、和馬くん、本当にありがとうございます!」
「約1名は友達じゃねえだろ!」
またもやの宏樹の愛のあるヤジに、俺は恥ずかしくなる。
そう、俺にとって風花は、また風花にとって俺も、「友達以上のかけがえのない人」だ。
そして風花の方もそんな宏樹のヤジに一瞬恥ずかしそうな表情を見せるが、すぐに元の表情に戻る所が「ステージの上のプロ」の雰囲気を醸し出す。
「では、短い時間ですが、みんなで楽しみましょう!」
「オォー!」
風花の煽りで、俺たちのボルテージは高まっていく。
「ではまず始めの曲は…、何とK―POPのカバーです!あたし、韓国も何げに好きなのです!
この日のために一生懸命韓国語勉強しました!みなさん聴いてください!」
その風花のかけ声と共に音楽が流れ、風花が歌い出す。
そして、ステージの上の風花は―。
キラキラ輝いている。そう形容するのが1番だろう。
風花は(こう言っては失礼だが)思った以上に歌もダンスもうまかった。あと、韓国語の意味はさっぱり分からなかったが、風花はそれを自分のものにしているように俺には感じられた。とにかく、今の風花は、「かわいい。」




