最後の秘密 十九
…俺は、言葉を返すことができない。
「あと、あたし風が好き、って前に言ったでしょ?それには理由があって…。あたし、目が見えなくなるって知った時から、『見えなくなっても楽しめるもの』を探してきたんだ。アイドルだったらダンスは無理だけど、歌なら耳だけでも楽しめるし、それに風は、目が見えなくても感じることができるでしょ?だからそれもあって、あたしは風が好きなのです!」
でも、でも…。
あの時、風花が風の話をした時、風花は泣いていた。やっぱり、風花は目が見えなくなるのが、怖いのではないのか?
「それにね、あたし…。」
風花の涙はさらに溜まっている。そして、風花が次の言葉を言う。
「…好き。」
それは、囁くような声で、はっきり聞き取れるものではなかったかもしれないが、俺には、俺の心にはしっかりと届いた。
「あたし、正人のことが好き。大好き。
…でもこんなあたし、目が見えない女の子なんて嫌だよね。
もうこのゲームはおしまいでいいかな?もちろん、奈子や遥とは仲良くして欲しいけど、あたしなんて…、」
「そんなことねえよ!」
俺は風花の言葉を遮り、そう大きな声で言う。




