最後の秘密 十八
「そ、それって…どういうこと!?」
「そのままの意味だよ。
実はねあたし、小さい頃から目が弱くって、いつ失明してもおかしくないって言われてたんだ。でも、薬飲んだり目薬差したりして、今までずっと視力を維持してきた。でもね、最近の通院で、やっぱり視力は落ちるみたいだってことが分かって、今みたいにはっきり物が見えるのは年内か年度内ぐらいまででしょう、って言われたんだ。
だからあたしが高校を卒業するまでに、あたし、何にも見えなくなっちゃうんだ!」
…その声色は明るいものであったが、風花の目からはやはり涙が流れている。
「それと、あたしの両親はそんなあたしを気遣ってくれて、あたしの好きなこと、何でもやらせてくれた。あたしがアイドルにハマって『本気でアイドルになりたい!』って言った時も、歌とかダンスとかのレッスンを受けさせてくれた。あと落選はしたけど、何回かオーディションも受けたよ。まあ、受かったとしても目が見えなくなったら活動なんてできないけどね。」
その台詞は冗談のつもりで言ったのだろうか?でも俺には笑えなかった。
「それであたし、目が見えなくなるまでに働く経験もしてみたかったんだ。あと普通科の高校だと通院とかの融通がきかなくなるかもしれないってことで、仕事しながら定時制の高校に通うことにした。
もちろんあたしは高校生活も仕事も楽しんでるよ。奈子とか遥とか、仲のいい友達にも巡り会えたしね。
でもあたしの目のこと、奈子にも遥にもまだ言ってないんだ…。何か、言い出しづらくって…。このことを言うのは、正人が初めて。
あと、今まであたしのしょうもないゲームに付き合ってくれて、ありがとね!このゲームも、あたし前からやってみたくって…。何か、初めて会った人とこんなゲームで盛り上がるっていい感じかな、なんて思ったり…ね。
そしてこれがあたしの、最後になるかもの秘密であります!」




