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最後の秘密 十二
「ところで正人くんと宏樹くんには、将来の夢とかないの?」
「俺は…とりあえず工学部は目指してるけど、まだそこまで考えてねえな…。」
「俺も…。」
和馬以外の俺たち2人は、そう答える。そして俺はその時、「医学部志望」と言うのをためらってしまう。
それは、和馬や遥ちゃんみたいにまっすぐな気持ちで医学部・看護学校を志望してはいないからだろう。
「そっか~まあ私も将来のことは分かんない、かな?
でも、風花には夢、あるんだよね?」
『風花の夢って何だ!?』
俺はそのことが気になったが、声には出さずに風花の発言を待つ。
「そうなんだ!あたし、ちょっと恥ずかしいんだけど…。
アイドルになりたい!」
…その発言は予想外で、俺たちは一瞬だけ沈黙する。




