最後の秘密 八
「あ、正人!紹介するね!
こっちが奈子で、こっちが遥だよ!」
「おう。俺の友達は…、こっちが宏樹で、こっちが和馬。」
「はじめまして!」
俺と風花を除く計4人は、お互いにあいさつする。
「あ、あと私、食材買ってきました~!
何かこの季節にバーベキューって、逆にテンション上がりますね!
それに、食欲の秋だし…。」
そう言ったのは、奈子ちゃんの方だ。そしてそんな様子を見て、遥ちゃんの方は笑っている。
これは前の電話で風花から聞いた情報だが、奈子ちゃんはとにかくテンションが高いらしい。何でも北高イチの元気娘だそうだ。
それでどんな派手な子が来るんだろう?と少し身構えてしまっていたが、現れたのは黒髪の少女だった。
「あと、風花が器材持ってきてくれたから、火の方は男性陣、頼みます!」
奈子ちゃんは確かに黒髪だが、化粧の方はしっかりしていて俺たちと同級生とは思えないほど、大人っぽい。
「分かりました!よし、じゃあ和馬、正人、
まずは火起こしから…。」
宏樹はこういう時、いやどんな時でも頼りになるタイプの人間だ。こいつはどんな状況でもあたふたせず、やるべきことを分かっている。
それに比べて和馬は…、インテリタイプだけあってかこういうアウトドア系には向いていないらしい。
「和馬、こっちは俺がしとくからこれ、運んでくれる?」
「…分かったよ。何かごめんね。」
…そんな和馬に対しても宏樹の指示は的確だ。
「あと遥、こっちのさつまいも、切ってくれる~?」
「…分かった。」
これも前の風花との電話の情報だが、遥ちゃんの方は派手なタイプではなくどちらかというとおしとやかなタイプの方らしい。それで人見知りもするらしいが、風花曰く他の人の
話を聴くのが好きで、よく笑うタイプらしい。
「でも遥ちゃん、包丁さばき上手ですね!」
宏樹は遥ちゃんの姿を見て、そう感心する。
「いや、そうですかね?
でもありがとうございます!」
遥ちゃんはそう言われると照れながら宏樹にそう返す。
「あ、言うの忘れてた!
私も今まで使ってて言うのも何だけど…。
私たち同い年なんだし、これからは敬語はなしでお願い、ね!
何かちゃんづけで敬語もおかしいしね、宏樹くん?」
「そ、そうだな…。」
奈子ちゃんは今日初めて会ったとは思えないほどこの場になじみ、またこの場を仕切っている。
「すごいでしょ奈子…!」
そんな様子を見て、風花は俺に耳打ちする。またそんな俺と風花は、テーブルや椅子並べを主に2人で担当していた。
(あと、ちゃんづけで女性陣を俺たちが呼んでいるのは風花たちからの事前の要望だ。)




