最後の秘密 一
「ああ~良かったね映画!」
「そうだな。」
俺と風花は、映画を見終わった後、近くのカフェにいた。
「それにしても、今日風強いね。」
「ああ、そういえば今度台風が来るらしいな。」
「ええ~あたし、風は好きだけど台風はやだよ~!」
「そう…だな。」
俺が前の観覧車での件を思い出し、一瞬言葉に詰まると、
「あ、分かった!正人は台風で警報が出ると学校が休みになってラッキーだ、なんて思ってるでしょ!?」
「バ、バレた…!?」
「ちょっと不謹慎だよそれ~!」
風花がそう冗談っぽく言うので、俺はさらに返答に困る。
「まあそれはいいとして…。
ところで、正人は風だったらどんな風が好き?
まだ訊いてなかったよね?」
「うーんそうだなあ…。
今まで考えたことはなかったけど…。」
俺は少し考えた後、
「春一番、かな…。」
と答える。
「何か春一番って、『春が来る』みたいな感じがして、テンション上がらねえか?
それに、あったかい風の方が俺は好きだし…。」
「いいねえ春一番!正人が言う通り、まさに『春が来る』って感じだもんね~!」
俺は風花が自分の意見を認めてくれたような気になって、嬉しくなる。




