海の見える観覧車 十七
※ ※ ※ ※
間宮風花は9月最後の日曜日、二階堂正人との、待ち合わせの場所に向かった。
その日は2人で、映画を見る予定にしている。
そして風花にとって、二階堂正人は「特別な人」になっていた。
『思えば、正人と出逢ったのは、あたしがたまたまスマホを落としたからだった。
それを、正人が拾ってくれて…。』
その時提案した「ゲーム」、風花自身がやってみたかった「ゲーム」が、こんなにも自分にとって大事なものになるなんて、その時の風花は想像していなかった。
『そう、正人は今のあたしにとって、かけがえのない人。
でも、正人はあたしのこと、どう思っているんだろう?
あたし、ちょっとウザいとこあるし、実は嫌われてないかな…。』
そう思いだすと心配になって、正人と逢うのが嫌になってくる。
でもやっぱり、正人の顔が見たい、逢って話をしたいと思う、自分がいる。
そんな相反する気持ちを持ってしまうのも、それが「恋」だからなのかもしれない。
しかし、風花には、ある心配事があった。
『今まであたしたちは『秘密』を教えるゲームをしてきた。
それは、とっても楽しかったけど…。
でも、この『秘密』を言ってしまったら、正人はあたしのこと、嫌いになっちゃうかな?
いや多分、あたしとは一緒にいてくれないだろう。
でもいつかは言わないといけない。でも、でも、今日だけは…。』
風花はそんな思いに苦しめられながら、正人との待ち合わせ場所に向かった。




