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海の見える観覧車 十
「それは…、『男女間の愛情が冷める』ことです!
何か、季節の『秋』を『飽きる』の『飽き』にかけて、飽きちゃう、男女間の愛情が冷める、って意味になるんだって。
あと、『秋風が立つ』みたいな言い方もして、これも『男女間の愛情が冷める』意味らしいよ。」
「そうなんだ。よく知ってるな。」
「まあね。」
そこで、俺は一瞬空気が変わったことに気づく。
「でも、でも…、
正人は、そんな人じゃないよね?」
「えっ…?」
2人の間に、一瞬沈黙が流れる。
それは秒数にしては一瞬だっただろうが、俺にはその沈黙はとても長いように感じられた。
…そしてその沈黙を打ち破るかのように、風花が口を開く。
「例えば、正人は実は超プレイボーイだったりして!」
「…は?
バカ!そんなわけねえだろ!」
「だよね~!」
その後、俺たちはバカ話をして、笑う。
そして、観覧車を降りる時間になった。
風花と乗った観覧車での時間はとても楽しかった…が、俺の頭の片隅にはその沈黙の時間が、ずっと残っていた。




