海の見える観覧車 五
「あ、あそこにアイスあるよ!
先にアイス食べよっか!」
風花のテンションは、観覧車の近くにあったアイスクリーム屋さんを見て、ぐんと高くなっている。
「なんだ…カステーラじゃねえのかよ。」
「ちょっと~観覧車にカステーラは合わないでしょ!
確かにカステーラ好きって言ったけど、それは祭りとかの露店で食べるからおいしいんであって、それでその雰囲気の空間とカステーラの甘~い味、柔らかい食感がマッチしてて、あとあの甘さ、ちょっとチープ感あるけど砂糖が効いてる感じがいいんだよね~!」
するとテンションが高くなった風花は、急にカステーラについて語り出す。
「いやいや冗談だから!
あと、風花は本当にカステーラ好きなんだな。
そんなに語るとは思わなかったよ。」
「そう?女の子はみんな食べるの好きだよ!だから、色々語ってしまうのです!
でも、アイス好きな友達はいるけど、カステーラ好きな子はなかなかいないなあ…。」
「まあそうだろうな。」
「ちょっと~何それ!
これから先、絶対カステーラが流行るんだからね!」
「はいはい!」
そこまで言って、俺はこのやりとりが面白くて…。
思わず吹き出してしまう。
そして、そんな俺を見た風花も面白くなったらしく、思いっきり笑う。
『こんな時間の過ごし方も、悪くねえな。』
俺はそんなことをふと思う。また、そう思ったのは、一体いつぶりだろうか。




