海の見える観覧車 四
「急に言われても分かんない?
じゃあ、正人の苦手なもの、答えてくれる?」
「分かったよ!
苦手なもの、か…。
そういえば、俺エアコンの風が苦手だな。今もそうだけど夏になると冷房がつくじゃん?あの風、どうも苦手なんだよな~。」
「あ、それ分かるかも!
あたしも冷房の風あんまり好きじゃない、かな。」
妙な所で、俺たちの意見は一致する。
「何か正人と共通点が見つかって嬉しいな~!
でもあたし、自然の風は好きだよ!
例えば、そよ風とか…。」
「へえ~そうなんだ。」
俺は相槌を打ち、風花は続ける。
「何かそよ風って、目をつぶってても感じることができるでしょ?
柔らかい風で、優しさに包み込まれているような…ね?
その感じ、たまんないんだよね~!」
そう言う風花であったが、その目にはなぜか、涙が少し見られる。
「風花…大丈夫か?」
「あ、ごめんごめん。何か目にゴミが入ったみたい。
でも大丈夫だよ。」
その風花の言葉に違和感を持ったが、俺はその違和感を特に気にすることはなく、受け流す。
「じゃあここで問題です!
正人くんを風で例えると、何になるでしょう?
これはあたしに今できた秘密!正解を教えて欲しかったら…、あたしの願いを1つ叶えてね!
その願いは今日の終わりに言いたいと思います!
だから今日1日、じっくり考えてね…!」
「…は?何だよそれ?」
そう俺は風花に返すが、悪い気はしない。
そして、今日1日が始まる。




