第三話 「影流は神様に嫌われてるらしい」
「何回倒れるなのー!!」
「いやー、あまりの出来事にビックリしちまって」
二度目の気絶から復帰した影流は、えへへ〜と頭をかき苦笑いを浮かべる。
とりあえずこのチート幼女がいれば自分に危険が及びないと踏んだ影流は、一つ提案してみる。
「なあ幼女、しょがねーから俺について来るのを許可する」
「幼女じゃないなの!わたしにだって名前くらいあるなの!………えーと、わたしの名前は………あれ?でも確かあるはずなのに思い出せないなの………」
「思い出せないなら幼女でいいじゃねーか。ったく、神様に聞いてみればいいじゃねーかよ」
「ああ!その手があったなの!」
影流はこめかみを押さえる。
そもそも幼女一人じゃあ、即死だなこりゃ。
「神様お願いなの、わたしのなまえをここに示せなの!」
すると、幼女の目の前に文字が浮び上がる。
『ルナ』
「ほほう、中々可愛らしい名前してんじゃん」
「ルナ……ルナ、ルナ!わたしの名前はルナなの!」
「じゃあついでによ、俺を元の世界に戻せって唱えてみろよ」
影流はニヤリと笑ってみせる。
幼女の能力が本当ならそんなことは容易にできるだろう。
現に元の世界から、今いる謎の世界に転生されたんだから。
「わかった。やってみるなの」
そう幼女が覚悟を決めると、真剣の表情で唱える。
「神様お願いなの、わたしとこの性格悪いケダモノをしっきまでいた世界まで送ってなの!」
「ケダモノってお前……」
だかしかし、何秒、何十秒経っても変化が訪れない。
「なんでだ………」
「恐らくあなたは神様に嫌われてるからだと思うなの」
「嫌われてる………か。ふざけるなよ!おい神!聞いてるか!お前なんぞに『様』をつけるほど俺は優しくないからな!」