適温を保つ道具はいつになったら出荷されますか?
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外は案の定冷凍庫の様に冷えていた。嫌なことに、朝は冷えに特化してるからねえ。
凍ってはいない道を歩く。こういう時に限って誰も引っ付いてこない、なんで。いいの? 私から突っ込むよ? 後でマキナちゃんを怒らないでね?
「ね、レヴィア」
万能なレヴィアに私からくっつく。皆と私の服の素材は違うのかな、何が違うんだ、心か、心の温かさか。
何だか、今日はまともな思考回路が出来上がらないみたいだ。レヴィアの温かい手を冷やす様に手を繋ぐ。
「レヴィアあったかいねえ、ちょおっとだけ私にくれませんか?」
「あっ、え……ああ、どうぞ。何ならずっと」
「ずっとはレヴィアが凍え死んじゃうから駄目ですよ。私が体温高くなることはないんですから」
レヴィアはいつものかっこよさはどこへ行ったのか、私みたいに寒さで頭が回らないのか、混乱が治まらないみたいだ。
何でか物凄く悪いことをしてしまった気になった。次の町ではちゃんと温かい休息をあげるから。
「……やっ、と……城門抜けられますよ」
「距離は昨日と変わらないんですけど……やはり寒いから感覚が鈍って来ているのでしょうか」
「マキナさん、防具とかは大丈夫ですか?」
「防具……もしかしたら防寒用のを買ってから来るべき場所だったのかも」
時すでに遅し、と言うことで。城門を抜けて少し歩けば、初々しい緑色の草が生え、枯れる気配のない木がある。
冬かと思ったら雪解けをガン無視したか。春どころか初夏まで行きそうである。あの国に寄ったから余計に。
「レヴィア。ごめんなさい、ありがとう、温かくて凍えずに済みました」
「お前だったらいつでもいいからな、その……俺としても嬉しい」
レヴィアの心も雪解けより早く溶けたらしい。解けたより溶けた。このレヴィアはツンデレのデレに治まらない破壊力を持ってる。
地図に沿って一歩一歩踏み出す度に暖かくなって行く。これくらいが適温だよ。
「私だって言ってくれればいくらでも暖められます」
「はいはい、誰が一番暖かくて温かいか争いは止めましょう。あそこに行かなければいいだけですから」
「むう。私も冷たい性格になれば少し贔屓されますか?」
「へライトは元冷たい人だったからね。今は吹っ切れたのか根の性格なのかデロデロに懐いてくれますけど」
石ころ一つ無い、不気味なくらいに整備された道を歩く。敵の罠かもしれないけれど、思考回路がショートしてるから仕方ない。




