関係を持続させる物って意外と近くで貰えますか?
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幸せの最愛の人は不幸らしい。そんなことを思うくらい複雑な心境に浸っている。
生憎、部屋にベッドは二つある。物でさえも私とマキナ様を引き離したいのか、泣きたいくらいだ。私が先なのに。
でも、もう子供っぽくては駄目だ。マキナ様が思っているであろう「大人」にならなくてはならない。
そうしないと、ヘライト様もレヴィア様に追いつけないし越せないまま。
――そもそもの話をしてしまえば、私が全て悪いのだ。マキナ様をこんな大変な目に遭わせた全ての根源は私がマキナ様を執拗に追いかけたから。
そう思ったらまた泣きたくなって子供になるだけと言うのは分かっているはずなのに、さっきまでの不安の後ろから途轍もない自己嫌悪が襲って来た。
もしかしたら、なんて。もしかしなくても私が悪い、ヘライト様だけだったら楽だったろうに。全て私のせい。
「ノア? もう寝ましょう?」
この笑顔だって本当のものかも分からない。駄目だ、幸せなのに不公平に不幸が折り重なっていくから。
複雑に絡んで行く感情の果てには自己嫌悪しかないようだ。目の前で最初で最後の最愛の人が微笑んでくれているのに。
いや、目の前って言ったって、物理的な距離はある。前世だったら、あの世界だったらずっと寄り添っていられたのに。
こんなに「すぐ思考が変わる面倒臭い奴」はいないだろう。
「……ノア。おいで」
「……なんのことですか」
「まだ信じられないんでしょう? 私貴方の心、ある程度読めるもの」
「嘘ですよそんなの。私の気も知らないで」
知ってるよ? と無邪気な笑顔でこちらを見つめるから。ああ、ほら、またさっきの思考回路に戻ろうとしている。
これが一番駄目な所。一度思ったことを、決めたことを貫き通せない。
「知ってる。ヘライトに取られたことが悔しいんでしょ」
「そんな訳っ……」
「自分のものだったのが、あっさりと、一瞬で、塵芥すら残さず。私がヘライトにばかり構っているから」
こういう場面でも図星をしっかりと突いてくる。何も言えない、今この瞬間に、面倒臭い奴のレッテルを貼られているのだろう。
「……ごめんなさい」
「何で謝るの? だってこんなの、人間皆が持っている独占欲の範囲内なんだよ」
「でも、ヘライト様とか、レヴィア様は我儘も何も」
「言ってるよ、むしろあれで言ってなかったらノアは神レベルだよ」
ノアは前から物欲が無かった、大人しくて病弱だったから心配だった。とか、私の複雑な感情状況をバッサリ切った。
どんなに自己嫌悪に落ちても、マキナ様のことが好きなのは変わらない。今後一切変わるなんてことはありえない。
マキナ様がとどめを刺すように「おいで」と言うから、釣られるようにふらふらと行ってしまった。
ベッドに入ってすぐにマキナ様を抱きしめる。抱きしめられるのではなく、抱きしめた。時止めの魔法があればいいのに。
「…せめて、今だけは私のことだけを考えていて下さい」
人間が必ず持っている独占欲、それを言い訳にすれば大体は許されるのか?
「勿論。ずっと放置してたからね、ごめんなさい」
「手も繋いでいて下さい。私が目覚めるまで、ずっと、何があっても」
なら、私からも所有印をつければいいのか。軽く、痛くない程度に彼女の首筋に噛み付いた。




