清潔な場所は王国から支給されますか?
・
「マキナ、行こう」
「えあ……ええ、行きましょう」
レヴィアの様子が可笑しい。何か皆嫌な方向に進化遂げてないか?
いつもより心が此処にない様に見えるレヴィア。なんだろう、熱でもあるのかな。だとしたら早く休める場所に行かないといけないよね。
「あの禍々しい空気が目の前にある……」
「大丈夫です、マキナ様。私達が守ります」
「ありがたいけど自分のことも守ってね」
城門と思われる門は繊細に造られていて綺麗なはずなのに、重々しく人を寄せつけない何かがまとわりついているよう。
ここに人々が住んでいるなら驚きしかない。しかし人の気配は少しも感じられない。
「じゃ、開門しますよーっと」
「……うわ、手入れの手の字もない程荒れてますね」
「こんな様子じゃあ宿屋はおろか、一瞬も気が抜けないな」
「まあ、最強と謳われるレヴィア様がいるなら安泰安心安全でしょう」
未だに右腕から離れようとしないヘライトが嫌味たらしく言う。レヴィアとは犬猿の仲以上にはなれないんだ。
それはいいのだけれど、一々その応酬を私を挟んでやるのは勘弁して欲しい。私より少し上の位置でやるから様子を伺えない。
「私も役立ちますよね! ……ね?」
「ノアには数え切れない程救ってもらったからねえ、信用してるし大好きだよ。……うん、ヘライト、大丈夫だから愛してるから」
右腕まで壊れたら何もできないから。この子達には早急に力加減なるものを教えねば。
まあどうせいくら教えても一瞬で忘れられるだろう、常にこの子達の脳内は私で満たされているのだからね。
それが嬉しくないと言えば嘘になるけれど、嬉しいかと聞かれても素直に喜びは表せない。元はシア、エクシアと結ばれるはずだったのを、私が邪魔した。
「レヴィアも疲れていることでしょうし、腹を括って行きましょう。もしかしたら休息を得られる場所があるかもしれない」
「マキナさん、あちらの方にお城があるので、その反対方向に行ってみませんか?」
「そうだね、城はまだハードルが高い。民家辺りから攻めて行こう」
荒れ果てているから余り期待はできない、でも少し綺麗な部屋が一つあるだけでいいんだ。期待はできないししていないけど。
――案の定と言った所か。家こそは崩壊していないものの、人が住んでるとは到底思えない場所だ。精々レアな物資がちらほらありそうなくらい。
ふと空を見上げてみれば段々と青く暗くなっていっている。時間は余りない、いい加減のろのろせずに安全そうな場所を探さないとなあ。




