温かい睡眠は普通に出来ますか?
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「私のこと好きですか?」
「……へあ?」
「私のこと必要?」
朝起きて、着替えて、さあご飯! だと思っていたら、ヘライトに出会った。出会っただけでなく、開口一番変なことを口走る。
「必要、欠けてはいけない存在です」
「本当の本当に? ノア様の方がいいとか」
「無いですって。なんで信じてくれないかなあ」
「あ、ごめんなさい……」
責めた訳じゃないよ!? 私に怒られたと誤解までしてしまったヘライト。私困っちゃう。
ノアを慰める時と同じようにしてみたが……まあ、ね。言っちゃ悪いが、ヘライトはノア様より泣き虫で弱くなった。
「ヘライトのことを愛していて、信じているからこうするんだ」
「……え」
「貴方のことを愛していなかったら、ここまでしない」
口をついて出たのは、またあの言葉。信用する価値も必要性も確実性も無い、付箋より薄く、風船より軽い言葉。
でも、やっぱり何故か、ヘライトもこれを信じて、まるで生きる活力を貰ったかのような顔になる。
「嘘じゃない? 私のこと、捨てない?」
「ええ勿論。離さないから、大丈夫。だからね、落ち着いて下さいな」
「……捨てられない、よかった……」
寝惚けてるのかって言うくらい甘い。私の方がまだ半分夢の中なんだけどね。
するっと腕を私に回して、存在を確かめる様にくっつく。弱い子は守りたくなる。
――と思ったけど、段々と私にかかる重さが増して行く。それと共に温かさも増して、まるで寝る前の気分だ。
「って、寝てます? もしかして」
「寝てません。眠いだけ」
「だからここで少し寝ようとしてるんですよね、部屋に戻しましょうか」
「や、マキナ様も一緒」
我儘だなあ。こんな子だとは思ってなかった。萌え。
抱き着かれたままヘライト達の部屋に向かう。ノアは多分、まだ寝てると思う。どう思われるかな、贔屓って思われるかな。
「ほら、ヘライト様。ここでしょううぁっ!?」
「はあい、ありがとうございます」
「有り難さが微塵も感じられないんですけど!」
「んふふ……ずっと寂しくて凍えてたんです」
元々生暖かいベッドだったのが、子供体温のヘライトによってもっと暖かくなった。
でも、一つだけ変わったことがある。小さいことだけどね。
今まで寝る時は私がヘライトを抱き締めていたのに対し、今ではヘライトが私を抱き締めて眠っている。
「いつの間に強くなって……依存から束縛になるのも時間の問題かも。次はどうしようか」
そうこう考えている内に私も眠たくなって、緩やかに夢の中へと落ちて行った。
「――今世こそ、今度こそ、格好良いと思って貰えるかな」




