喉を潤せるものって洞窟に三個くらい置いてありますか?
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「ああ、三人は呼ばなくていい。俺達だけで済まそう」
「なんでですか?」
「何でもだ。あいつらがいたら色々と邪魔だから」
左手を掴まれ、レヴィアのなすがままに外へ連れて行かれる。
あの三人だったら食事は各々とってくれる……かな、やはり心に引っかかるのはノアのこと。ヘライトは渋々とってくれる、はず。
「マキナは何が食べたい?」
「……なんか、来たら来たで軽食でいいかなーって」
「奇遇だな、俺もだ」
「私、レヴィアが頼んだ物を少し貰うくらいでいいかな」
分かった、と何故かここでも嬉しそうな空気を漂わせながら注文をするレヴィア。
しばらく待っていると、文字通り軽そうなサンドイッチが出てきた。確かにこれくらいだったらいけるわ。
「どうぞ」
「レヴィアが先に食べればいいのに」
「年下に譲るのが決まりだ」
「年上を優先するのでは?」
変な所で突っかかってしまった。しかしレヴィアは引き下がる気は無いようだ。
なら、甘えてしまおうか。兄だもの、多少の無礼は許してくれるでしょ。
「――美味しいです。こういうのあまり食べてないですし」
「それならよかった」
「レヴィアは食べないのですか、半分に分けますよ?」
自分が持っていたのを半分に分ける。皿から新しく取れよ、と思ったけど……時すでに遅し。
これくらいのことは許してくれるでしょ、兄だもの。
と思ったけど、受け取ったレヴィアはこれまた何故か頬をほんのり赤く染めている。段々可愛くなっていく。
「お前はそういう所が狡い」
「何も狡いことしてないですよ」
「ほら、そういう所だ」
「……じゃあそういう女でいいですよ」
拗ねるなと苦笑と共に言った。今までにこんな小さなやりとりなど無かった。
それを思い出したら大分心開いてくれたよね、明後日の方向に。いや、元から開いてくれたんだろうけど。
「可愛いな、本当」
「っ、あ、ありがとうございます?」
急に真面目な顔して言うものだから、不意に照れてしまう。
けれど、直ぐに悲しそうな目になって、「こんな時間がずっと続けばいいのにな」、なんて叶わないことを知っていながら呟いた。
「私が続かせてあげますよ。ずっと一緒にいればいいんでしょう? 簡単です」
限りなく本心に近いことがぽろりと零れた。
私は大切な人を悲しませたくないので。これ以上そんな表情を見たら私の心に癒えないヒビが入る。
でも、色んな思考の線がこんがらがって出た言葉にも笑みを返してくれるのだから、レヴィアはもう優しさの塊だと思う。最初は冷たいと思っていたけど。




