適応能力って序盤で買えますか?
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「今度は台本様の言う通りに動こう」
さっきのはサイドストーリーと考えれば今日は安心して眠れる。
嵐のように過ぎ去ったから多少記憶に残ってしまうかもしれないけど。
これをサイドストーリーと名付けるならメインストーリーに影響を与えないようにしなければならない。
……さて、ここで台本を見てみよう。今は分岐後の第1章。私が出てくるのはその後半、それまでは少し自由に動いていいのだ。
「でも、ここでエクシアにあったらあれだよね」
「初めまして!」なんて自己紹介されたらゲーム崩壊。
だって私が初めて出てくる時が2人が初めて対面した時だもの。
ノアとは会ってしまったけれど……マキナが『前に会ったでしょう?』と言っているからカバーはできる。
「……よし、気を」
「あ、貴女は先程の」
「取り直せない」
目の前で控えめな笑顔を見せるのは見納めたはずの推し。
あ、ああ、そういうこと。きっと神様が「仕方ねえからもう一回だけ合わせてやんよ」って機会をくれたんだ!
「お礼を言いたかったのですが、直ぐにいなくなってしまったから……」
「めめめっ滅相もないですっ!! ……っつーか、エクシアどこ行った?」
思わず素が出てしまった。
ノアがここにいるということは、一応エクシアとのイベントは終わったんだよね?
すると、彼は小さく舌打ちをした。
「……ああ、あの弱小王国の姫か。それがどうしました?」
ん? 態度どうした? 急にどうした? 何か嫌なことでもあったか?
ノアってこんな感じだったっけ……最初だから人間不信なんだ! きっとそう、そうであれ!
「いい、いやあ……その子と会ったのかなあ……と」
「会いましたよ? 直ぐに逃げましたけど。でもそのお陰でまた貴女と出会えた……」
「そっ、そうですよね! うん! あ、お礼とか本当にいいですからね」
「いえ、それでは申し訳ないです!」
「や、ほんと……王子にそんなこと」
どんなに闇要素があっても王子は王子だ。
確かに第3王子だから必要ないというアホみたいな理由だけで上の兄弟から蔑まれ父母からも疎まれ自暴自棄になったけど……
だからって……だからって悪役令嬢、たかが悪役、されど令嬢の私とつるむな!
推しに抱き着きたいよこっちだって。でも……何でか悪女だし台本先輩がいるから無理なんだよ……。
「――貴女も、そうやって距離を置くんですか」
「……うんにゃあ?」
「そうやって、私を捨てるんですか」
お? これはあれだね、「そんなことないよ!」ってエクシアが言ったら好感度急上昇の場面だね。
「捨てる!? 私、貴方のこと拾える程の身分ではないです……」
「なら、何故」
「お、王子が禁句でしたらノア様とお呼びします、だから、その……
そんな悲しいことが推しの口から出てくるのは耐えられないっでえ……」
もう台本も何も無い、尊み最高潮なただのオタクになった私を止められる者は居なかった。
「じ、じゃあ、私の存在、認めてくれるんですか?」
「認めるも何もそこにいるもん。尊いがいるもん……」
「――やっぱり、私を見てくれるのは貴女だけだ……」
推しである彼の気持ちは一切考えてないけど。




