空腹って空の彼方に捨てられますか?
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この世界がRPGを元にして創られているのかは知らないが、RPGと言えば「どれだけ話しかけても同じことしか話さない人達」だ。
兎に角第一町人を探さないといけない。意外と大事なことを言う人もいる。
「あ、意外と簡単に見つかっちゃった」
探そうと思ったその瞬間に宿屋が見つかってしまった。大きくもなく小さくもなく、絵に描いたような微妙な大きさである。
「入って部屋の空き状況に応じて部屋割りしますか」
「嗚呼、分かった。金はあるからまだ気にしなくていいな」
木製のドアを開けると、気前の良さそうなおばちゃんがいた。明るい人は宿屋につきものだよね。
案の定おばちゃんは明るく、その明るさが移りそうなくらいだ。いや、本題はそこではない。
「あの、何部屋空いてます?」
「一部屋が三つかな……でも、一応ベッドは大きめだから」
「そうですか。なら、それでお願いします」
「はい、じゃあ180Gね」
一部屋60Gか。安いんだか高いんだかよく分からないな、まあ序盤の町っぽいからこの世界では破格の安さなんだろうけど。
――さて、部屋割りするか。大体のオチは見えているけど。
「部屋のことだけど――」
「兄弟ですから一緒がいいです」
「あれ、兄弟だったんですか? 様呼びしていたから兄弟ではないのかと思いました」
「親しき仲にも礼儀ありなんで。私達は二人で寝ますね」
自然とシアが一人になる。「少し心細いなあ」と言う声は聞かなかったことにしよう。レヴィアは妹と一緒の方が気を使わなくていいだろうし。
「マキナ、早く部屋に」
「はいはーい。じゃ、シアちゃんは危ない人とかに気をつけてね」
「はっ、はい! 頑張ります」
何をだよ。何故かおどおどしているシアを横目に自分の部屋のドアを開ける。
そこは特に豪華でもないけれど、質素の中に華やかさが散りばめられているような落ち着いた部屋だった。
おばちゃんの言う通りベッドも大きめだし、これなら大丈夫か。
「私奥側で寝たいです。落ちるかもしれないから」
「俺は別にどちら側でも構わない」
お言葉に甘えて今夜は奥側で寝よう。でも、その前に風呂入ったり荷物の再確認しないと。
そもそもご飯すら食べていない。一食抜いたくらいで喚く様な私ではないけど、この先何があるか分からないから万全の状態にしておかないと。
「先にご飯済ませましょう。お腹減ってきたので」
「分かった。他の奴らはどうする?」
「一応呼びますか」
他の三人がもう寝る気だったらどうしようかな。




