寝場所って必ず貰えますか?
・
日が暮れる前には町に着いていたい。が、地図も何も無い絶望的状況においてそんなことは無いに等しい。
私は今リアルFPSすることに決心がついたからいいんだけど。回復魔法して貰えばいいことに気がついたんだ。
「あれ、マキナ様、あちらに何かありますよ」
「あれは……整備された道だ、ってことはあっちに行けば宿屋に着けるかも。流石ノア」
素直な賞賛をかけると、ノアは心底嬉しそうに笑った。やっぱり根は純粋な子なのだ、改めて脳に焼き付けられた。
ただ、純粋だからと言って放っておいてしまうと、また綺麗な程のクマが出来上がり不安定な状態になってしまう。
ヘライトも根は純粋。表面が少し冷たいけど……だからと言ってこちらも放っておくと不安の強い顔色になってひたすら私に引っ付く。
……毎日程よい愛情を与えましょう。
「少し薄暗くなっちゃったけどシア、ちゃんは大丈夫?」
「あっ、はい! 私は全っ然行けます! レヴィアに……様がいるから」
「マキナ、宿屋に入れたとして部屋はどうするんだ」
「二人用が一部屋と一人用が三部屋かもしれないし、二部屋と一部屋の可能性も……その場で決めましょう」
女子二人がベストだけどね。まあ、家族だからレヴィアでもいいし正直誰でもいいかな。
「私は誰とでもいいけど」
「なら俺と一緒でいいな」
「抜け駆けは最低ですよ」
「兄妹の特権は狡いです」
あらあら本音が口から滑り落ちたせいで何だか面倒臭いことに。
ノアとヘライトは今まで一緒に寝たことはある。二進数駆使すりゃ両手使って1023まで数えられるから両手では数え切れるかな。
安心するなら二人だけど、どちらか片方を選ばなければならない。そんなことしたら再放送が起きる。
だとすれば間をとってレヴィアが一番。本当はシアが良さげだけど。
「私はレヴィアがいいかな。ノアとヘライトは沢山一緒に寝たでしょう」
八方美人作戦と言うものを一瞬だけ考えたことがあるが、まさかここらで役立つとは。
「……折角くっついていられたのに」
「また今度一緒に寝ましょう。それでいいですよね」
「その約束を破らないなら」
「変なことされそうになったら直ぐに呼んで下さいね!?」
レヴィアは「俺でいいのか」と嬉しさを滲ませながら答えた。私の兄が段々可愛く見えてくる。
宿屋があるという確証は得られてないけどね。まあRPGだったらあるでしょ、多分ね。




