嫌な予感ってどの湖に捨てられますか?
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「ごめんなさい」
「大丈夫です、本当に。私……その、嬉しいですし」
「でも弱い鎖骨にピンポイントで……」
「マキナ様なら、むしろもっとつけて欲しいくらいです」
ただ、骨の出た所が弱いんです、と苦笑を浮かべて言うヘライト。
本当に申し訳ないことをした。弱点にキスマークをつけてくる女なんて嫌だろうな。
「本当ごめんなさい。何だったらそこが隠れる服とか買うから」
「服、買いに行くのは止めましょう? お願いですから。……また、貴女が」
「それに関してはすみません、すみませんでした」
「じゃあ、どこにも行かないで下さい。やっと恋人らしいことができたのですから」
ヘライトは突然甘えん坊になる。可愛いけれど、それだと今度はノアが構って構ってと袖を引っ張ってくる。
……あれ? これってもしや悪循環? ノアを構えばヘライトが泣き、それを止めればヘライトが甘えてくるから構っていると、ノアが嫉妬してくるからノアを構う。
「ノア様……」
「私、ここがいいです」
ノアは自分の首筋を指差す。そこにしろと? 隠す気ないな、絶対。
でも、悪循環を断ち切るためにはするしかない。これでノアにも変なスイッチ入ったら嫌だから。
狡い狡いと喚くヘライトを宥め、未だベッドに腰掛けているノアに向かう。
「消えないくらいに強くつけて下さい」
「あは……善処します、かも」
軽く噛んで吸い付く。これくらいでいいでしょ、ああもう、何だか恥ずかしくなってきた。ぱっと離れると、目の前には嬉しそうなノア。
「これからは首の辺りが出ている物を着ますね!」
「それはやめて下さい!」
「なら私は鎖骨が出る物を」
「防御力無しですか」
変な所で張り合い始めた二人を止める。私の所有物であることを周りに見せたいらしいが、それは何かメリットがあるのか。
二人のことだから何かしらあるのだろう。私知らないけど。
「こんなことするの初めてだからなあ……恐れ多いけれど今度から兄様、じゃなかった、レヴィアを練習台に」
「それは駄目!」
「……え、何ですか、レヴィアって。まさか呼び捨てにしろって言われたんですか!? じゃあ私もノアって呼んで下さい」
「狡い、私もヘライトって呼んで下さい」
……なんだかまた面倒事になりそうな予感がする。




