贔屓ってバグで捨てられますか?
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意味深な言葉を零した兄様、もといレヴィアと一旦別れ自分の部屋に戻る。実家のような安心感がある。
ヘライトに起きた変化といえば少し甘えることができるようになったこと。ノアに起きた変化は……髪色が少しだけ亜麻色に近づいたことかな。
些細過ぎる変化しかない二人が愛おしい。布団から出たくない原理と同じ、温かくて慣れてるし変化があまりない。
「ノア様は何故また髪を伸ばしたのですか?」
「そうすればマキナ様が結んでくれるからです。あとは……首元が温かいので」
「ノア様って寒がりでしたっけ」
「前はヘライト様がそうでしたけどね」
どっちにしろ些細な変化に変わりはない。
何だか気が抜けて暇になった。だからと言って私の髪は長くないから遊べない。ならノアの髪を三つ編みにしようか。
ノアだって私に触れてもらえるのを喜んでいるのだ。それを言い訳にしてノアの髪留めを外す。
「三つ編みですか?」
「ええ、暇なので……や、ヘライト様も後でちゃんと構いますから」
じとっとした目でこちらを見てくるものだから。まあねえ、「また自分より先に!」と思われるのも仕方ない。
しかしそれだけでは機嫌が治らなかったのか、ヘライトは小動物の様に唸った。そういう所が小動物してる。
「平等に構ってくれないのですか」
「そんなこと! ……うん、ただ、ノアの方が守らないといけないかなって……」
「私とは無理して付き合ったのですね」
「違います、ヘライト様は自立してい、た……から?」
これは彼から見てどう判断されるのだろう。
恐る恐る顔を上げると、目に涙を溜めながら精一杯睨んできた。そこが小動物ってるんだ。
「好きです、大好きです、愛してるなんて言葉が下品に思えてくる程に貴女を想っています」
「あう、私も貴方のことを慕っています」
「でもノア様の方がいいんでしょう? 私は二の次三の次」
「なんでそうなるの……」
涙を必死に堪えているヘライトの元へ向かい、抱きしめる。子供は抱きしめれば何とかなる気がした。
前にもこんなことなかったか、いや、気のせいかもしれない。
私の混乱した脳内では、涙声で私に思いの丈を伝えてくるヘライトが可愛く見えて仕方ないことだけが事実と化していた。
「……三つ編みはまた今度で。今回だけ少しだけヘライト様に譲りますよ」
「あー、今回だけね……次回が恐ろしいわ」




