嫉妬って捨てても返って来ませんか?
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気に食わない、第一印象はそれが脳内のほとんどを埋め尽くしていた。今となっては極々普通に好かない。
あんな猫の皮を何重にも被った奴らのどこに惹かれたんだ。彼奴らは絶対に面倒臭い男達だ、根拠なんて無いし確証もない。
ただ、マキナを見る目が異常な程に昏かった。もっと言えば粟立つほどに気味が悪い。
「もう離さない」と微かに聞こえたが、表情や行動は「離してほしくない」と縋り付くものだった。
「腑甲斐無い」
マキナからの愛情に溺れている奴らも、それに少なからず羨望を抱いている自分も。
モンスターという異形の集団に今だけは感謝した。行き場のない感情の捌け口になるから。
――ふと気がつけば、辺りは静まり返っていた。どうやら全て倒したようだ、どういう仕組みかも分かろうとしないまま、モンスターから出た金を回収する。
これでしばらくは余裕で暮らせる、暮らせるのだが……如何せんこの腐敗した感情が治まらない。
「……何時からこうなったんだか」
隣の家の奴なんて毛ほどの興味もない。ただの手段であり踏み台だ。
今思い出すと気持ちが悪い、あんな奴に触れなくてはいけないなんて。甘ったるい匂いにはどうも慣れなかった。
幼い頃、マキナはずっと家にいた。外に出たとしても遊ぶことは無く、ふらりと出ては直ぐに戻ってくる。
「何をしているんだ」と聞けば、「探さないと、二人が拗ねるから……」と意味不明なことを返された。その二人は見えてはいけないモノの類かもしれない。
しかし、そんな謎な所も含めて惚れていた。今も惚れている、そういう意味で愛している。
「惚れた弱み……もういい、帰るか」
好きで好きでどうしようもない、本当に行き場がないのはこの感情なのかもしれない。可愛くて愛おしくて誰にも渡したくない。
また新たなモンスター共が襲いかかってくる。俺に勝てる訳もないのに、ご苦労なことだ。
――帰ったら、彼奴らはまだいるだろう。もしかしたら、俺のことも考えてどこか遠くへマキナを連れて行くかもしれない。
……そうだとしたら、俺がいない間が好機……。
……駄目だ、早く帰らないと。悔しいが、案外自分も彼奴らと変わらなかったということを実感させられた。




