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台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本はじりじりと近づいて来た
52/103

本心ってどのマップのどこで拾えますか?






「っ……妹を馬鹿にしないで下さい! 力づくってものがありますから!」



 じたばた暴れてみた。しかし効果はいまいちのようだ。心の中で小さく舌打ちをかました。



「舌打ちをするな、下ろしてやるから」


「舌打ちじゃないですう、舌づつみ打ってただけですう」



 そう言い返すと小さな舌打ちと共に下ろされた。舌打ちしてますけど、お兄様。



「……で、異論はないですか?」


「異論も異存も反論もある。それに、最近はモンスターが活発化してきている。お前らに守れるか」


「これでも魔術にたけているので、ご心配なく」


「さあ? どうやら」



 お母さん。この人って、私のことより隣の家の子を溺愛してたんだっけ。今の私にはただのシスコンにしか見えないや。


 意味もなく目を擦るが、やはり顔のいいシスコン。シス昆布。ごめんなさい何でもないです。



「兄様……」


「マキナは誰にも渡さない、俺がずっと護る」


「話が進みませんね。では、お義母様とお義父様はどうお思いですか?」


「え、別に……いや、全然いいですけど」



「そんな、何故……俺は、絶対に認めないからな」



 狼が威嚇するようなオーラを纏って、兄様はどこかへ行った。


 兄様が狼だとすれば、二人はヴヴと唸る子犬といった所か。要は可愛い子犬達が少し怯んでいる。



「兄様、どこ行ったの?」


「モンスター狩りに行ったよ。今日は特に八つ当たりがしたいらしいだろうな」


「ふうん? ノア様達は、どうなさります?」


「ここに住みます。……と、言いたい所ですが、隣が気になるので」



 隣、確かに謎だ。隣の子は見たことがない。そもそも自分より年上の可能性だってあるのだ。


 この世界では兄様が22歳、私が19歳、ノアが18でヘライトは17。私とノアは一歳若くなっている。



「ノア……兄様について行きますよ」


「そうですか、では……私達も、モンスター狩って生きますか」


「へえ……うん?」


「ちょっ、え、ノア王子!? その、それはいくら何でも」



「え?」


「マキナ気をつけてね」



 ふざけんな、そう言いたかった。ただただそう言いたかった。


 どうせ少しの金と棒切れと布の服しか貰えないんでしょ、マキナ知ってる。



「では、一週間後に出ましょうか」


「ちょっと待って、これ何かの冗談? なんでトントン拍子で進むの」


「マキナ……ごめん。目の圧が……痛くて」


「目の圧って。あ、そうだ! ノア様、後で私の元へ来て下さい。クマ、取りましょう」



 第1王子になったらなったでその細い肩に重圧がのしかかって、目の下にはまたクマができている。


 ヘライトも、よく見たら強気だった目が不安気な色を帯びている。


 「第1王子だったから私に付き合ってくれたんだ」とか、余計なことを考えているんだろうな。



「ヘライト様」


「っは、はい。なんでしょう……」


「ヘライト様も、来て下さいね」


「……いいのですか」


「つべこべ言わずに来て下さいね」



 あれだけ兄様と言い合った癖に、何が怖いのか。私は何があっても嫌わないってのに。



「はい。……やっぱり、誰にも渡したくない」

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