語彙力ってどの店で買えますか?
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あれから何とかしてあのドレスは着なくて済み、比較的シンプルなドレスを身にまとうことができた。
けど、どんな格好をしても『令嬢』であることには変わらない。
下手なことをすれば首、即、斬。関係ない所で死んでたまるか。
「今日の目標はノアを拝めたらいいな」
「目標になれていませんよお嬢様」
「黙らっしゃい」
あ、あと一つ新たにわかったことがある。メイドは意外といい人。
何か私……マキナを嫌ってるメイドばかりだと思った。
でも、そんなことは無かった。上辺だけで物事は判断してはいけないんだな。
「……何だか疲れた」
「お嬢様、本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫。いつもの私よ」
んなわけないだろ。いつもの私って何? いつもの私はただのイケメンに飢えたオタクなんだけど。
ああノアにもしあったらどうしよう。言いたいことまとめておけばよかった。
主人公と関わったらそう簡単には会えない、話せない。
最初で最後の推し拝み、絶対に逃さない。
「――お嬢様、着きました」
「あ、あ……ありがと……」
「私達も細心の注意を払いますが、モンスターにはご注意を」
「そっ、そっかあ……」
そんな奴らの存在なんて忘れてたよ。異世界を題材にしたっていうからにはモンスターもついてくるよね。
そういえば悪役令嬢もノアとヘライトに痛めつけられた後、モンスターにとどめ刺されてたっけな。
「……可愛いスライムがいい」
「では、どこから行きますか」
「え、ついてくるの?」
「何故ですか、お嬢様をお守りするのが私達の仕事ですよ」
「き、今日は休み! お疲れ! 私は1人で巡ってるから!」
後ろから聞こえるメイドの声に耳も傾けず、ただ走る。
ヒールの高い靴じゃなくてよかった。
……けれど、ここがどこだか分からない。
「まま、ま、迷子……」
ゲームだと背景としてしか描かれていなかったから、街がこんなに複雑だなんて知らないよ。
人の多いところは極力避けて満喫しよう。いや、それは満喫と言えるのか?
……その、人気のない所を満喫すればいいのか。
よし! ひとまず……ゲームで見たことのある所を探そう!
「――あ! あそことか」
あそこは確かノアと主人公が初めて出会った場所。
誰にも期待をされないで、酷い扱いを受けて身も心も何もかもがボロボロのノアを気にかける主人公。
最初は主人公を信じてなかったノアだけど――
「――誰、ですか」
「んにゃっ!? な、なんですか……って」
噂をしすぎて影が濃くなったらしい。
少し青ざめた白い肌、透き通るような水色の目、そしてそれを縁どる長い睫毛にくっきりついたクマ。
何より美人、もう美人、圧倒的に美人。鬱くしいとは正にこのこと。
「――とっ……ととっ、とりあえず…………温めましょうか?」




