デジャヴって高値で売れますか?
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私は幼い頃に一つだけ、おかしな魔法を覚えた。
時間をある程度まで巻き戻すという、下手したら最強クラスになれる魔法だ。
けれど、そんなことは気にしなかったし、気づけなかった。気づいた所で使い道なんて少しもなかった。
――嗚呼、けれど。
視線を動かして、ヘライト様と笑顔で戯れているマキナ様を見ると、自分を褒め讃えたくなる。私が助けたんだ。私が、この手で……。
でも、時間を巻き戻した際に少し歪みでも出てしまったのか、あの場所に出てしまった。マキナ様は知らないだろうけど。
いや、知らないままでいい。どうかしらないでいてくれ。
今度また私が貴女を殺さなければいけなくなったら、今度こそは、彼奴を殺るから……今回だけは許して欲しいな。
――それにしても、ヘライト様はマキナ様にベタベタし過ぎだ。私が起きていることに気づいているのか?
首筋に頭を預け、安心しきった表情を見せる二人は恋仲の様で、甘酸っぱく見えた。
妬ましいな、今までなら私がその場所にいたのに。少し機会を上げればこれだ。
折角私の匂いをつけたのに、上書きされては大変困る。
「ヘライト様いい加減にしてください」
不満は口を突き破って出て来た。これを心が狭いだの何だの言うのだろうが、生憎私は寝起きが悪い。
これ以上ないくらいの不満を滲ませ発した声に、ヘライト様は少し余裕そうに微笑んで、マキナ様をいっそう強く抱き締めた。
「今日は服を買いに行くのでしょう? こんなにのんびりしていてはいけないじゃないですか。起こしてくれればよかったのに……」
「負け惜しみですか? それとも負け犬の遠吠えとでも言うんですかね」
「どれにも一致しませんよ? それに元は貴方の方が」
「だあああ! もう何千回とこんなやり取りやってないけどやった気がする。もういいよ、ほら。二人とも起きましょう」
いい加減お父様に怒られちゃう。お母様にも冷めた目で一瞥されちゃうと、言動の割にはどこか安心したような顔でマキナ様はベッドから出た。
「……テネプエラに行くのはやめましょう。あ、ヘライト様の所はどうでしょうか」
「何故また火種のある所に……」




