アイテムはどの気候の時に買えますか?
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『マキナ、お前は本当に何もしてないんだな』
『ええ、お父様。私は当たり前のことをしていたら、当たり前のように二人になつかれました』
『……何か異変はないか?』
『私が一番疑ってますって』
――というやり取りを出かける前にしたことを思い出した。
二人の服を買うと言っても……お金、貰ってない。服を見てる最中に思い出した。
一応、自分のお金を持ってきたから大丈夫だろうけど。父は何故お金をくれなかったのだ。
「確かに二人を連れてきたのは私だけどさあ……」
「マキナ様、早く決めましょう。お父様に見つかったりでもしたら面倒臭い」
「そうだね。うん、分かった」
今はテネプエラにいる。最近、急な発展を遂げたとかで、ありとあらゆる物が最新になっている。
……まあ、ノアのことは誰も知らないけどね。
ああもう! 私が選ぼうとするとただの私の趣味になってしまう。なんということだ。ここは二人に選んでもらった方がいい。
「二人は何がいい」
「マキナ様の好みの服で!」
「――あ、ああ、そうかい。本当にいいんだな? あれだよ、萌え袖とかになるんだよって……萌え袖知らないか」
じゃあ萌え袖になるやつ買ってやろ。最早ただの嫌がらせである。
しかし私が定義も同然の二人は何の反論もすることなく、私が淡々と買っていくのを眺めているだけだった。
「よし、これで全部買い終わった! さ、二人とも帰……」
マキナ様、と震えた声が鼓膜に触れた。彼らの声が震えるのは泣きたいときだとか、甘えたいときとか……。
今回は普通に前者だろう。では、何故二人は泣きたくなったのか。
「おお、貴女が『マキナ様』でしたか」
「……ええ、いかにも」
人気のない道を通ったことが仇となった。私の後ろで二人が危険な目に遭うのは嫌だったから、二人よりほんの少し、ほんの少しだけ下がった。
どこからか香る出来たてのパイの匂いが、今だけは異常なほど鬱陶しかった。
私達ってば、こういうときの運だけはゲーム並に高いのね。ノアの顔は決心がついていたが、手は微かな不安に揺れていた。
「そんなに警戒はしなくてもいいです。ただ、息子が惚れた方がどのような方か見に来ただけですから」
「左様ですか。申し訳ないです、私のような阿呆がお二人を振り回してしまって」
「ヘライト王子の方は誰一人として文句は言ってなかった。安心して下さい」
できるわけない、こちとら急展開が多すぎて何一つままなってないんだ。
どうするか、適当なこと言って逃げる? 記憶飛ばす? 殺すのは……ダメだから。
悩んでいるとヘライトが「騙されないで下さいよ」と言った。――私完全に騙されていたわ。将来詐欺にひっかかるね。




