特効薬はどこで貰えますか?
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――何故だろう、物凄く熱い。
……何が? 喉が、焼けている様に熱い。もしかしたら本当に焼かれているのかもしれない。
まあ、質の悪い夢だろう。私の目が覚めるということは、もう辺りは明るくなりつつあるのか……。
隣では二人が規則正しい寝息を立てていた。マキナ様を起こさないと、今日は出かけないといけないから。
「っ…………?」
……あれ? 声が出ない。「あ」の音も出ない、ただ息が詰まる音だけ。
それを知った途端、急に喉を激痛が走った。もがきたくなるが、マキナ様達に迷惑はかけたくない。
幸い、奥側ではないので自由に動ける。ヘライト様が奥側を望まなかったらきっと死んでいた。
でも、空気が循環する時に喉を通るだけでも痛いのに水なんて飲めるわけがない。
「――ノア、様」
「っ!? ……」
「起きてたんですね。私は相変わらず眠れませんでしたよ。ノア様は珍しく? なのかしら」
口を半開きにしたまま見つめる私をマキナ様はどう思っているのだろうか。
体が弱いだなんて情けないと思われてしまう。こんなの、幼少の頃を言い訳に出しても鍛えなかった私が悪い。
「ノア様? ……どうしました?」
「――え、あ、い」
「喉? 声? ……喉が痛くて声が出ない、とか」
勢いよく首を縦に振る。頭が少し痛くなったけれど、関係ない。
痛い、心の痛みが全て吐き出される感覚だ。痛くて痛くてどうしようもない。
「く、薬……って言っても、まだ夜半だから誰も持ってきてくれないよなあ」
まだ夜半だったのか……迷惑をかけてしまったな。けれど、声が出ないから謝罪もできない。
「うーんとお……いいや、私についてきて下さい。薬飲みましょう」
「あ、りがと……ござ、います」
「無理して話さなくて大丈夫ですから。さあ、行きましょう」
彼女の温かい手が私の冷え切った指先に絡んで、溶かしてくれる。
嗚呼、こんなのヘライト様にまた怒られてしまう。「ずるい」なんて嫉妬と羨望のこもった顔で。
「二人は色んな意味で忙しいですね。縁談が行き詰まっていたと思えば次は風邪ですか」
私とマキナ様だけの空間がつくられたことについては、今までにないくらい怒られるんだろうな。
でも、ヘライト様はマキナ様に傷をつけられた。頬に。
前、ヘライト様が愛おしげに自分の頬に触れていたから何かと尋ねれば『マキナ様が私を休ませるために、頬を銃で撃ったのです』
と、甘ったるい声で言った。
私からしたらそれが羨ましくて妬ましい。それが痕として残れば所有印と化すのだから。
私も欲しい。首筋に噛み付いてもらったっていい。兎に角、私がマキナ様のモノである印が欲しい。
だなんて。こんな時に言うことではないか。
けど私だって、印はつけて貰えていないけど、怪我の処置等はやってもらっているから。




