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台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本の中で狂気を綴ることはできない
33/103

休息って丑三つ時に幽霊から買えますか?





 夕餉も風呂も歯磨きも全て済ませ、さあ皆仲良く寝ようかという時に父に呼ばれた。寝かせろよ。



「マキナ……学はついたか」


「今ちょっと仲悪いんで例によって例の如く説明はできないですね」


「……明日、お二人の生活に必要な物を買って来なさい」


「すみません。ありがとうございます」



 お父様さっすがー。必要な物って、主に服だよね。


 お金大丈夫かなあ、王子に着せる物って、値段……やめだやめだ、きっとお父様がくれる。お父様だから。


 そうだ、二人がお風呂入ってたり色々してた間にぬいぐるみ直し終わったんだっけか。


 やっぱマキナちゃんチートだわ、一文字で表したら升だわ。



「たでえま。ノア様、直し終わりましたよ」


「えっ、あっ、ほ、本当ですか!? ありがとうございます」


「んーん、可愛いですねえノア様は」


「……ありがとうございます」



 いくらチーターであるマキナちゃんでも、ぬいぐるみを完全に直すことは出来なかった。ちょっと首を傾げているくまになった。


 それを大事そうに抱きしめてベッドに倒れ込むノア。空五倍子色の綺麗な長髪が重力に乗って舞う。



「ヘライト様のは大丈夫そうですね」


「ええ、まあ……今日は私が窓側でいいですか?」


「私はいいですよ。ノア様は?」


「いいですよ。私は一番端でいいです」



 ……え、それって腕の悪夢再来? やだあ……今でもたまに短く悲鳴を出すんだけど。


 結局寝ちゃうんだけどね。二人の体温で少し温かくなったベッドに入り、毛布を頭まで被る。息苦しくなるけど、余計な光が差して来ないからすぐ眠れる。



「マキナ様、明日は何するんですか?」


「何もしないと思う。……あ、違った、洋服買いに行かないと……おやすみ」


「おやすみなさい」



――――



「ノア様は自分の城に戻ることは考えてますか?」


「いいえ、微塵も考えていません。あれだけの金があれば大丈夫だろうと」


「奇遇ですね、私もです。……夫婦ですもの」


「本来ならアイツとこうなるはずだった。不本意でしたが」



「周りの人達は皆アイツに惹かれてますからねえ……どうでもいいけれど」


「マキナ様がいればいいですから。私にも、貴方にも」


「ふふ、ごもっともです……でも、もう少しマキナ様から離れて下さい。腸が煮えくり返りそうで仕方が無いのです」


「いつもあんなに冷たいのに」



「だからこそです。いつもいつもいつもいつも貴方が先で、素直になれば寝惚けていると思われ、こんなに辛いの初めてです」


「そうですか、私は真逆ですね……素直になれば愛でて貰えるのですから、こんな幸せ初めてです」


「ぬいぐるみの件で余計ハマったでしょう?」


「貴方こそ、泣いていればマキナ様が来て、甘い言葉を吐いてくれるのだから抜け出せなくなったでしょう」

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