安心感ってモンスターから買えますか?
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「あのさあ、二人共、エクシアと一緒にいた時、最初は30分で来てくれたでしょ? んで、その後また戻って、1時間くらいしてから来たけど何があったの?」
「姫側の者が『まだ話が終わっていない』と言ったものですから」
「いやあヘライト様囮にして逃げようかなと思ったんですけど……何があるか分からないじゃないですか」
「例えばヘライト様だけ縁談破棄とか」とノアが言うと、ヘライトが「私も同じこと考えてました」と言った。仲良いなあ。
……でも、縁談ってそんな早く終わるものなのかな、抜け出したとして、そんな早く終わるかな。
「あれ? 二人って、縁談無しになったっけ?」
記憶力が乏しく、どこまでこういう話をしたか覚えていない。縁談の進み具合によって私は唐突かつ大胆なキャラ変更をしなければならない。
するとヘライトが清々しい笑顔で
「はい」
と言った。「はい」と言ったのだ。……はあ?
「そんなのマキナちゃん絶対認めないッ!」
「え……何故ですか? やはり、長時間待たせてしまったから」
「違うッ! 私は何年でもあそこで待てた。嘘、本当は帰ろうとしてた。けど、けど!」
それだと私の存在意義及び寿命が無くなってしまう。居場所はあれど意義はない。義務もない。
あっ、作ればいいのか。そうだ。そろそろ台本に雷落ちそうだし、いい案いい案。
「もう一度だけエクシア様に会ってみたら? 案外いい子かも、貴方達を虜にしてく」
「嫌、やだやだ。そうやって私のこと捨てるの」
「ノア落ち着こうか。そして私の貧弱な脳から搾り取った文章に被せないで」
「……貴女が、それで、ご褒美くれるなら……私、アイツと……ああやっぱり無理、ああいう女は絶対無理」
もうヘライト『姫』じゃなくて『アイツ』って呼び始めてる。姫の方が言うの楽だよ?
しかしどうすることもできず、部屋中に真っ黒いオーラが溜まってしまったので「お風呂入ってくる」とだけ伝えて逃げ……風呂に入った。
――――――
「マキナ様と共に眠れるだなんて。やっと安心して眠れる」
「私もやっと人間らしい睡眠がとれる……。今まで、睡眠時間は計測されていたけど、もうその心配もない」
「あ、また兄様に盗られたらどうしよう……武器、どこに置いたんだっけ」
「父様と母様、弟に邪魔者扱いされたらどうしよう。拾われるのもいいけど、いっそのこと私が王になってマキナ様を妻にするのも……」
「王になったら自由に移動できませんよ」
「そうか……貴方に恨まれたくないですし、アイツの時みたいに同時に妻に迎えるのはどうでしょう」
「それはいい。家も知れたことですし、もうマキナ様に逃げ場はありませんね」
「けど、嫌われたりしたら……」
『――それが一番嫌だ』




