表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本の存在を抹消するのは控えましょう。
2/103

演技力はいくらで買えますか?



 呆気なく終わった私の人生、僅かな記憶だけを持って次の世界へ――。


 なんて小説のようには柔軟になれない。そもそも、なろうとも思わない。


 というよりだるい。気怠い。



「何が楽しくて悪役なんかやるのさ」



 金持ちに憧れることもあったが、なってみると自由がない。


 常に誰かに見られている。つまらないと言う訳ではないけど、庶民の方が楽しかったかも……なんて。



 『何か欲しいものはあるか?』なんてゲーム一択に決まってるでしょ、なんてこの身分じゃあ言えない。



 そもそも、この世界が異世界を題材にした乙女ゲーム。


 そして、そんな異世界にゲームという概念はない。




「息苦しいなあ。ご飯は美味しいけど」




 食事は自由に取れない。腹なんてそんな空いてないって。


 でも腹に収める。どんな些細なことでも、崩してしまったらいけない。


 全ては推しのため、推しのための全て……それだったら我慢しよう。



 ――やっぱ無理。


 悪役令嬢のセリフなんて覚えていない、立ち振る舞いなんて知らない。




「悪女ってどんなのだろう。おほほほ、みたいな?」




 神は私に私にどうしろと?


 ……ひとまず、ひとまず冷静にこのゲームの内容を思い出そう。



 まず、主人公はとある小さな王国の姫。


 平凡に暮らしていた姫はある日、政略結婚を申し込まれる……だっけ?


 そんで、国のために! とそれを受け入れた姫。ここから分岐だったよな。


 東にある王国、西にある王国、南にある王国、北にある王国……それぞれ2国ずつ。



 そしてその分岐の後は……そう、攻略対象キャラである王子2人と親睦を深める。


 で、心を開いた王子達は――



 ああもう面倒臭い。とりあえずここは北にある王国。名前は……なんだっけ。




「うーん……まあ、その内思い出すか?」



 この悪役令嬢の名前も思い出せない。どうしたものか。



 『お父様! 私の名前ってなんでしたっけ?』とか気楽に聞けるかな、無理だよね。


 どこにそんな悪役がいるかって話だよね。……本当にどうしよう。


 下手に動けばストーリーが変わりかねない。命も守りつつこの世界の情報も集める。



 ここに台本とか説明書とかあれば違うんだけど。



 誰を頼ろうかなあ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ