アドリブ力って何割引で買えますか?
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「まだかなあ……」
あれから40分くらいが経った。やっぱりあんなこと言ったから来ないかなあ。
なんであれを抜粋しちゃったかなあ。
相手は王子なのに。ちょっと話したからって何調子乗ってんだ私。
「なんでこんなことになったんだろう、本当」
整理ついたフリしてるけど脳内容量オーバーしちゃってるんだな。
――それから更に20分くらい経った。1時間もなんで待ってるんだろう。
もう帰っていいよね。元から来ないの察してたし。
でも何だろうね、この振られた感。
「私ガチ恋勢じゃないから。推しが幸せになってくれればそれで」
「マキナ様、遅くなってしまい申し訳ございません!」
「おわあ!?」
「待ってて下さったのですね。今度からは、もっと早く終わらせます」
ノアは前より幾分か輝きを取り戻した目で私を見てきた。違う、観てきた。
穴が空くほどとはこのことか。私もノアを見つめ返す。あらやだ綺麗なお顔。
クマも前より薄くなった。肌は相変わらず白いけど、それがノアの良さだから。
「ノア様、エクシア様はどうされたのですか?」
ノアの後ろからヘライトが聞いた。この兎、可愛い。
「え? 私、言いましたよ。ルノマースに譲ると」
ノアが儚げな笑みを浮かべ、ヘライトにそう言った。
まあそうなるわな。なんでエクシアをヘライトに譲るのかは知らないけど。
……ゲーム通りだとノアは排他的を極めた系ヤンデレになるルートもあるから、自分でも相手を不幸にすると言うことを自覚してたのかも。
終盤になると無辜の民製造機になるし。惨憺たる幼少期に比べれば少しは報われたんだろうけど。
しかし、ヘライトも不満そうな表情だ。
「私も貴方に譲ると言ってしまいましたし……」
なんでえ? え? なんで。ゲームだとエクシアも『清廉潔白で好青年』ってべた褒めベタ惚れしてたよ?
それに、彼に対する印象はそりゃ様々だけど、巷間に流布しているのはやはり『清廉、優渥、真摯な好青年』だろう。
そんな清廉優渥真摯な好青年は今何と言った?
『私も貴方に譲ると言ってしまいました』? もうそろそろエクシア泣くよ?
「なんで断ったの? お姫様でしょう? 結婚しなよ。でないと私――」
「私達、もう心に決めた方が居るので……一応」
「ええ、それこそ、私達二人が惚れたのです……だから、ヘライト様と共に父様達に相談したのですが……」
中々難しいものです。と2人は悪気のない、純粋な笑顔を見せた。
台本通りに戻すにはどうすればいいのだろうか。幾ら払えば戻れるのかな。




