空気を読む力って何を満たせば買えますか?
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私にはどうすることも出来ない。
このまま城に運んでしまえば私が真っ先に疑いを掛けられる。
だからその場に留まったまま、できる限りの怪我の処置を施して、冷たい飲み物を急いで買った。
私のせいで攫われたらもっと溜まったものじゃない。
「……このまま城に運んだら私が死ぬ……けど、このまま目覚めなかったら……」
そんなことを考え続けて早10分程が経った時、ヘライトが目覚めた、推しが目覚めた。
「…………んう……」
「……あ、目覚めて最初が私でごめんなさい。でも、お姫様が来るまであと3時間はあるから」
「それで、私の弱みを握ったつもりですか? それとも恩を売るつもりで?」
まあ、そうなるわな。推しにこんなこと言われるのは悲しいけど、私はエクシアではないからね。
けど、休んで欲しい。台本通りに出来なかった詫びとして、少しだけでもいい状態でエクシアに会ってもらいたい。
「はい、これで……ごめんなさい。王子だから人から貰った物は口に出来ませんよね、すんません」
「……ください。飲みます。だから……先程のことはどうか」
「いいですよ、別に。弱い所があったっていいじゃないですか」
「駄目、駄目なんです……父様が仰った様に強く優しく、母様が仰った様に賢く、愛される様な、完璧な王に……」
「――まあ私完璧な人大嫌いなんでどうでもいいですけど」
もう一度心を鬼にする。ヘライトみたいに理想を押し付けられている人は一旦理想を折る。
え? そんなの可哀想? でも、そうして傷心中な時にエクシア来たら良くない?
もしかしなくても私、結構天才じゃない? やっぱり悪女様はこうでないと。
「な、でも、父様、完璧になれば皆好いてくれるって」
「そういうフリしてるだけね。皆結局、自分の傷舐めてくれる人が好きなんだよ」
「弱い所見せたら、嫌われるって」
「――ああ、じゃあ、私の前で好きなだけ見せれば? ほら、どうぞ」
天才マキナちゃんは思い出した。エクシア来る前に事を済まさねば。
「いやです。どうせ笑うつもりなんでしょう」と警戒心を一切とかない彼に痺れを切らせた私は彼を思い切り抱きしめた。
「っやめて下さい」
「ああ可愛い。いつまでも警戒心とかない推しもよきかなあ!」
「……可愛いとか、やめて下さい」
「いやあね、貴方の背負っている重圧は計り知れないけど、もうすぐ来るから。貴方の独占欲を引っ掻く人」
「……だからなんだって言うんですか」
「その人の前で恥かくくらいだったら私みたいなどうでもいい奴の前で泣きなよって」
すると突き放されてまた銃を向けられた。あらま。
悪役令嬢ってこんな扱いされるん?




