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台本を装備した悪役令嬢があらわれた!  作者: ぱつぷぇ
台本の中で淡白を嘆くのは無理に等しい
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主人公は好感度を悪役令嬢に取られた!




 私は弱小だけれど、平凡で温かい王国の姫。


 姫なんて務まる訳ないけど、周りのみんなのお陰で支えられてる。


 そんなある日、お父様からこんなことを言われた。



「エクシア、お前にとっては大変酷なことだと思う。だが、お前に全てがかかってるんだ」



 「テネプエラ王国とルノマース王国に同時に嫁いでくれないか」と。


 政略結婚なのは分かっている。そこに愛がないのも知っている。でも、2国――2人と同時に結婚だなんて……。



 私に務まるかな? いや、国のみんなを守るためだったら――。


 ――そう思って、まずはテネプエラ王国を訪ねたのだけど。



「あわわ、やっぱり顔色悪いですよ? な、何とかしないと――」


「ついてこないで下さい」


「そんなこと言ったって……い、一応、妻になりますから!」



 青白いけど、きめ細かい綺麗な肌。端正な顔立ちで、正直……一目惚れしたかも。


 でも! 目の下には薄いけどクマがあるし、どう見ても何かある。


 ここは妻になる者として放っておけない!


 けれど、彼は私の方を見て薄く笑ったあと



「お前、図々しい」



「……え? な、そそれでも! ……ふええ……見捨てられないですう……」



 目の辺りが熱くなって、自分ではどうしようもないくらいに何かがこぼれ落ちる。


 妻として見て貰えなくても、こんな状態の人、見過ごせる訳ないよ。



「偽善者ぶりたいなら他所でやれ」



 そう冷たく言い放つ彼の手には1枚の、真っ白で綺麗なハンカチが大切そうに握られていた。


 これを話題にすれば打ち解けられるかなあ……?


 そう思って彼に近づき、そのハンカチに触れようとする。



「こ、このハンカチ可愛いですね!」



 その瞬間、彼の表情が無表情から一気に嫌悪感を示したものへ変わった。



「いい加減にしろ、私の言ってる事が聞こえなかったか」


「……あの、それは」


「さっき言っただろ、お前はルノマース王国に譲ると。分かったらとっとと失せろ」


「っ……そのハンカチに、の、呪いとかかけられてて、魔女に操られてるとか……」



 それだったら彼からハンカチを取らなきゃ。きっと街人に扮した魔女にやられたんだ!



「最近モンスター達も活発化してるって聞いてるし……は、早くそれを渡して下さい! きっとそれは危ない――」



「――これは拠り所なんだ」


「どういうことですか?」


「これは、マキナ様が、私に下さった……唯一の存在証明」


「マキナ……そ、その人が悪さしてるんですね!?」



 そんな名前の人聞いたことないけど、きっと強いんだろうな……。勝てるかな?


 けど、救わなきゃ! その一心で彼の顔を覗き込むと、


 彼は、儚げな笑みを浮かべて、据わった目で私を捉えた。そして――



「邪魔する奴は、排除するまで」



 私の頬を刃物が掠めた。


 生温かい液体が頬を伝う。鼻に鉄の臭いが刺さる。



「3秒以内に消え失せないと、今度はここ、刺すよ?」



 彼は細長い指で首を指した。


 私は直ぐにその場を走り去った。……お父様――私、大丈夫でしょうか?



 次はルノマース王国に行く予定だけど……殺されませんように。

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