寛大な心は全員に装備可能ですか?
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チュンチュンチュンと今の私にとっては大変耳障りな目覚ましが外で鳴り響いた。けれどあの鳥達に罪はないし、私では捕まえられない。
さてと、そんなことに脳を使うのは何よりも無駄。現実逃避をしないで、しっかりと昨夜のことを聞かねば。
タイムリミットは痺れを切らした男性陣が来るまで。
「……ね、起きてらっしゃいますかねえ」
「起きてらっしゃいますよ。昨夜、というか今日かな、さっきの話の続きとか詳細ですよね?」
「うん。タチの悪い冗談ではない?」
「はい、全ての元凶はお母さんにありますけどね」
ふわふわとした髪を耳にかけて回想に入るシアちゃん。もといシアくん。
ぼうっとし過ぎてて余り話が耳に入ってこなかったけれど、彼のお母さんが私とレヴィアをロックオンしたらしい。経緯は知らない。
「お母さんはマキナさんに僕が近づくためにどうすればいいか考えたのです。その結果が……」
「女装と」
「はい。確かに可愛いものは可愛いと素直に思うし、好きですけど、流石に女装は――」
似合ってたけどね、なんて言えない空気だよなあ。ベッドから抜けて、私のベッドへ移るシア。
こんなに可愛い子が男の子だなんて神は不平等だ。身長からして間もなく成長期と言った所か。違かったら土下座。
「年齢は? あ、いや、身長は気にしてないよ別に!」
「15です。騙っていた歳と少ししか変わりませんが……まだ膝が痛くならないんです」
「ごめんね抉ったみたいで」
罪の意識は無かったんだけど、身長の話になった途端目が死んでいくシアを見ていたら自分が大罪人のように思えてくる。
いつか伸びるよ、私を越すよ、なんて確証のない薄味の言葉をつらつら並べた。しかしそんなことで言える傷ではないだろう。
「いいんです。もう、諦めましたから……今はそんなことよりも、男性陣にバレるのが大変なんです」
「知られたら部屋割り大変だね」
「そうじゃないです!! 僕の心臓が干されかねない!」
「そんな魔女じゃないよあの三人……は……」
いや、魔女かもしれない。今までの狂気とも取れる発言を思い返したら「魔女です」と言われても「あっはい」の四文字で返せる気がする。
これも馬鹿げたものだから鈍ってきた脳を余計鈍らせただけなんだけど。真に受けたらしいシア目を伏せた。
「大丈夫、いい人達だから……多分」
「信用できません! ああどうしよう、一旦パーティを抜ける? でもそんなことしたら二度と来るなって言われそうだし……」




