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異世界なんて、いいものじゃない  作者: 黒原 兎
新たなる扉の向こう側へ
2/5

不幸とフコウ

東京 町田市


そこそこ都会なこの町の高校に、自宅から二時間もかけて通学している。


いつもと変わりのない、平凡な日常を過ごし、

自宅に帰ろうと、電車に乗ろうとする。


駅前は、いつもより人が多く、ギュウギュウ詰めだった。


「ただ今、小田急線、新百合ヶ丘駅で脱線事故がありました。新宿方面の電車は、ただ今運行を停止しています。」


新宿方面っていったら、俺の電車に乗る方面じゃないか。

今日はバスで帰るしかなさそうだな。


そういえば、もうすぐ母の誕生日だ。

何か買って帰ろうかな。

いや、今日は手持ちの金が少ないんだった。

明日、姉と買いに行けばいいや。


そう思いながら、バス停に並んだ。

電車が、運行停止なのに自分が並んだバス停には誰もいなかった。

「いっつも、もっと人いるだろ。」

ここのバス停は駅から近いし、ハルトの住んでいる方向に帰る人は沢山いるはずだ。


5分たって、バスが来ても結局、そのバスに乗ったのはほんの数人だった。



バスの中には、学校の制服を着た、中学生くらいの、女の子とおじいさんしかいなかった。

ハルトは、一番後ろの席に座った。

女子中学生は、銀髪で長い髪を二つ結びにしている。

どう考えても、外人だ。

優先席にいるおじいさんは、次の停留所で降りるらしく、下車を知らせるボタンを押していた。


停留所に止まり、おじいさんは降りた。

次の停留所は、自分の降りるところなのでボタンを押した。

おじいさんが、降りた停留所から、自分が降りる停留所までは、少し距離がある。

もうすぐ、通る橋を渡れば、バス停はすぐ近くだ。


そして、バスが橋に近づいた時、バスのスピードがいきなり早まった。

予測していなかった事なので、ハルトは前の席に腹を強打した。

「いっ!...ってぇ」

気づけば、女子中学生は、必死に運転手を起こそうとしてた。

運転手が、発作か何かを起こしたらしい。

「大丈夫ですか!?しっかりしてください!起きてください!」

と、肩を揺さぶっている。

自分も、駆けつけ、運転手の代わりにブレーキを踏もうとしたが、ブレーキは効かなかった。

「ブレーキが、壊れてる!?」

突如、運転手の左手が、ハンドルを強く曲げて、バスも曲がる。

どんどん、橋の手すりに近づいていく。

「君!ここに捕まって!!」

女子中学生を半ば強引に引き寄せ、運転席の近くの手すりに掴まらせた。

女子中学生は、歯を食いしばって、涙をこらえている。


自分も、目を閉じた。

死ぬんだったら、楽な死に方をしたい。

水中で、苦しみながら死ぬなんて、嫌だな。

自分の人生平凡だったな。

バスは、橋から落下した。






さよなら、俺の人生_____________























___________ふと目を開けた。


自分は歩いていた。それも、見た事の無いようであるような、懐かしい感じの森を。


「はぁはぁっはぁ」


息が上がっている。

何時間歩いたかも分からない。

どれだけ歩いたかも分からない。


ただ、自分の足が止まらないのだ。

ひたすら、どこかに向かって歩き続ける。


「はぁっはぁっ」



もう限界がすぐそこまで来てる気がした。



だめだ、もう無理だ。



そう思った。だが、足は止められない。



「あぁ」


思わず声が出てしまった。

小屋だ、小屋がある。

木造で作られた小さな小屋の煙突からは煙が上がっている。中に人がいるのだ。


重たい足を動かし、やっと小屋のドアを開けた。



「やぁ、こんにちは」


薄い水色の髪をした、幼い少女が立っていた。


部屋は小さく、テーブルと椅子でいっぱいいっぱいの狭さだった。


少女は、反対側の椅子に座り紅茶を飲んでいた。



「待っていたよ」



「座りなよ」と、彼女は空いている椅子を指さした。



「君、誰?」


「名前は__」

そう言って彼女は悩むような顔をした後、

「アルカナ」


と答えた。



ハルトが椅子に腰を下ろすのを見届けると

アルカナは、


「ティルティル、お茶。」


と言った。



「ぷぃ」


と、机の影から、膝くらいの高さまでしかない、黒い物体が返事をした。

. .

うさぎのような形をしているそれは「ぷぴぃ」といいながら、紅茶を運んできた。



「あれは何?」



ハルトは思い切って黒い物体について訪ねた。


「あれは、ティルティル、私のお友達」



案外寂しいやつだなって思った。


いや、




待て待て待て待て待て待て待て待て。


なぜ俺はこんなところにいる?

死んだのか?

いや、それともこれが死後の世界ってやつか?

天国か?地獄か?

昔の自分の祖先はいるのか?


どうして、優雅に俺は紅茶なんか飲んで、あの黒い物体の名前を聞いただけで、納得したような雰囲気になっているんだ。


阿呆か、俺は



「私が呼んだ。今のところ死んでる。天国じゃない私の想世界。地獄じゃない私のアルカナの想世界。あなたの昔の先祖はぱっとしない特に何も出来ずに死んだ農民。」


すべての質問に、彼女は答えた。


いや、まて、答えているのもすごいが...


俺は一切それを口に出していない。


なのになぜ、なんで、答えられたのか。


あー、


頭がぐるぐるしてきた



「ここは私の想世界。私が創ったから私の自由に出来る。私が願えば何でも叶う。」



「人の心を読み取りたいなんて、願っちゃダメだよ。えーっと、アルカナ...ちゃん?さん?」



「呼び捨てでいい。私もハルトの事、呼び捨てだから。」


と、クスクス笑いながら言った。


「さて、本題に入ろっかな。ハルト、あなたは新しいセカイで生きたいですか?」


唐突な質問だった。


「はい」と返事を返すためには、まず質問をアルカナにしなければなかった。


「やっぱり...俺、死んだんだ?」


「うん」


「世界ってどんなところ?」


「ハルトの住んでたセカイとは少し違うかな?ケータイとか、すまほとかがないの。」


「そっか、ありがと。」


やっぱり、きた。

がくんと、自分の一部が持っていかれるような、途方もない虚無感。


自分は、もう生き返れない、戻れない

と思うと、もう死んでしまいたい。

死んでるけど。


「だから、戻れないわけじゃない。あなたがこれから行く世界は、まだ未知の事が沢山ある。帰れる方法だってあると思う。

でも、行きたいか、行きたくないかは、ハルト、あなたが決めること。あなたはどうしたい?」


頭の整理がつかない。


「俺は」



どうしたらいい、勿論「生きたい」という思いが強いのは確かだ。

誰だってそうだ。


だからと、いって簡単に決められること?

そんなわけない。


でも、答えを出すのは今だ。


「生きたい。行くよ。その世界に。」


アルカナは、ふっと微笑んだ。


「それで決まり。」


と言って、ティルティルが、持ってきた本の背表紙をなぞった。


「我らが大いなる母よ


宙を超え


すべてのセカイを超え


汝の力と誓いに従い」


アルカナが、何かを唱え出すと、本の表紙にくっついている石がキラキラと光る。


「この物に大いなる奇跡をもたらせ」


唱え終わると、本の表紙の石は光るのをやめた。


「ドアを開ければ、もう君は新しい世界に踏み出すことになる。」


「なるほど...。

短い間、だったけどありがとう。また会える?」


ドアノブに触りながら少し緊張した面持ちで、ハルトが聞くと、アルカナは飲んでいた紅茶を机に置き、「こほん」

と咳払いをして、微笑んだ


扉を開けるとハルトを、光が包み込んだ。



「ハルト、君が望むなら」

はじめまして、黒原 兎です。

学生をやっていて、配信のペースは結構遅いです。


前は、pixivでおずとして、「プラチナ.ソウル」という小説や、アニメのイラストなどを投稿していたのですが、タブレットから、スマホに機種変したら、なんとpixivが年齢制限がかかって、ログインできなくなってしまいました(泣)


なので、私の年齢でもログインのできる、このサイトで、連載していた小説、「プラチナ.ソウル」という、名前から「異世界なんて、いいものじゃない」という、タイトルに改名しました。


近々、pixivの方でもお知らせしようと思います。


あまりに、文章力がないため、

文章も、少し変えていたりもします。

まだ、ひよっこなので、文章がおかしかったりもしますが、日々努力するように頑張りますので、よろしくお願いします。



追記:

少し後半を変えました。

特に大きな変更はありません。

あと、更新遅いですね。はい

あ、あとTwitter始めました笑

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