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淋しい世界に星が降る。  作者: シュレディンガーの羊
本編。
4/17

03。  電話。


「もしもし」

――こんばんは。と、外村くんですか?

「……えーと、塚本だよな?」

――は、はいっ

「間違ってなくて良かった」

――連絡網なんですけど、いいですか?

「いいよ、大丈夫」

――明日、必ず懇談会の出欠の紙を持って来て欲しいとのことでした

「りょーかい。次は中谷に回せばいいのか」

――そ、そうですね

「わかった、じゃあ」

――あ、待って下さいっ

「ん?」

――外村くん、この頃明るくなりましたねっ

「そうかな?」

――だって園田さんや松澤くんと、よく話すようになりました。前は、いつも一人でいたのに

「別に誰かといるのは嫌いじゃないよ」

――そうなんですか……

「塚本、どうしたの?」

――外村くんは、自分にはこれしかないって物ありませんか?

「これしかないって物?」

――私には、勉強です。頑張る分だけ結果が出るから。でも、時々疲れちゃうんですよね。頑張る事によって、逆にすごく泣きたくなるんです

「……」

――ごめんなさい、わからないですよね

「それだけじゃないよ」

――え?

「塚本は勉強だけじゃないよ」

――でも、私、勉強以外で取り柄なんてないし。勉強だって、この頃は上手くいかなくてっ

「でも、優しいじゃん」

――やさしい?

「いつも花瓶の水変えしてくれてる」

――し、知ってたんですかっ!

「あぁ、知ってた。だから、そんな自分の中にある物から逃げるようなこと言うなよ」

――あ、明日

「明日?」

――オススメの本、教えて下さい。私、外村くんと仲良くなりたいです

「塚本」

――その、できれば園田さんや松澤くんとも

「そっか」

――はい、私もう逃げません

「あぁ」

――だから、明日、忘れないでくださいね

「わかったよ、またな」

――はい、また



受話器を置いて、一息つく。

そして、呟く。

「オススメの本か」

そんな本、有りすぎて決められない。

思わず零れた笑みを噛み殺して、俺は本棚に向かった。





俺らは淋しさだけじゃない。

いろんなモノを抱えて、生きてる。

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