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26 西園寺討伐隊

 魔動機関砲の完成を受けて量産が開始された。


 量産と言っても討伐隊の人数程度なので一週間ほどしか掛からない。

 魔物のチタン骨を加工するのにやや時間がかかった程度で、あとは三鈴AIがあっという間に作ってしまったからだ。三鈴AIのあまりの速さに、技術ネギの風雲寺が負けじと組み立てたのも早さの原因だったらしい。

 お疲れ様です、風雲寺さん!


  *  *  *


 そして今日、めでたく討伐隊に魔動機関砲が配備されることになった。

 街の門の二階には銃眼があり、内部には弓兵用の部屋がある。ここに台座付きの魔動機関砲を設置することになった。

 まず、西門に最初の魔動機関砲が設置された。ここは、西園寺討伐隊が担当している門だ。


『頼もしい! 本当に頼もしい!』


 台座に取り付けられた魔動機関砲に触れて西園寺が高ぶった声で言う。設置されたばかりの魔動機関砲で何かを狙うように構えてみたりして上機嫌だ。


『ほれぼれしますね!』


 西園寺の部下の早野美海(はやのみう)もうっとりと眺めている。


『早く撃ってみたい!』


 これは西園寺の妹、西園寺柚子(さいおんじゆず)だ。


『腕が鳴ります~っ』


 西島睦美(にしじまむつみ)だ。討伐隊では最年少だという。って、まだ撃ったことないだろ!


 ちなみに、討伐隊は女だけというわけではない。討伐ネギなのでむしろ男のほうが多い。ただし、各隊の性別は統一されているということだ。巫女隊を担当するということで西園寺が選ばれたとのこと。


  *  *  *


 銃座に設置された魔動機関砲は、既に弾倉がはめ込まれていた。

 単体の弾丸の重量が重いので弾倉には20発の弾丸を入れている。弾丸が重いのは火薬や薬きょうがなく弾頭のみで出来ているためだ。お蔭で同サイズの機関銃カードリッジの数倍の威力がある。

 弾数は少なめだが、現れるマッドボアの群れが十数体であることを考慮すれば十分であると思われた。

 しかし、そんな想定は実際の魔物には通用しなかった。


 その日は最初の配備ということで、巫女隊や俺たちも立ち会っていた。


『南門から報告。マッドボアの大群出現とのこと!』


 さっそく、南門を守備している討伐隊から緊急の報告が入った。

 東西南北、四つの門は通話機で互いに連絡が取れるようになっている。連絡を受けたのは早野だった。


『なに! 何体だ?』

『マッドボア、およそ30体。まだ、他にもいるようです。こちらに向かっています』


『30って』


 思わず柚子がちょっと焦った声を上げた。どうも、今までの常識を越えていたようだ。


『全ての討伐隊でかかっても無理な数ですね』

『今までならな! しかし、今はこれがある』


 西園寺は魔動機関砲を叩いてにやりと笑った。


『これで、どれだけやれるか試してみよう。巫女隊は待機しててくれ』

『分かりました』


 もちろん、紫雲を始め美琴も朝霧もいる。いざとなれば何とでもできるだろうが、討伐隊だけでどこまでできるのか試したいのだろう。


『でも魔動機関砲はまだ西門にしかありません』


 不安そうな早野。


『大丈夫だ! 来たら教えてくれ』


 西園寺は魔動機関砲を構えて言った。


『来ました! 南から3体!』


 隣の銃眼から覗き込んでいた早野が報告した。


『よし!』


 ガガガガガガシューン

 ババババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ


 先頭の3頭は激しく血しぶきをあげ、肉も飛びちり地面に突っ伏した。


『よし!』


 確かな手応えを感じた西園寺。


『次、6体来ます』

『了解!』


 ガガガガガガガガガガガガシューン

 ババババババババババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ


『次も6体来ます!』

『なに?!』


 ガガシューン カシッ

 ババッーン

 ギィアーーーッ


『弾倉をくれ!』


 西園寺はガチャっと弾倉を外した。


『えっ? あ、はい』


 慌てて柚子が弾倉を取り出して渡す。

 だが、慣れてないのでなかなか入らない。


『くそ。よし!』


 何とかカチッとはめこんだ。


 ガガガガガガガガガガガガシューン

 ババババババババババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ

 

『15体倒しました! 残り約15体』

『まだ、半分か! よし! 早野! 交代だ!』


 西園寺は魔動機関砲を早野に譲って、代わって魔物の監視に回った。


『8体来る!』

『了解!』


 ガガガガガガガガガガガガシューン  カシッ

 ババババババババババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ


『弾倉!』

『はい!』


 こんどは、弾倉の受け渡しはうまくいった。


 ガガシューン

 ババッーン

 ギィアーーーッ


 残念ながら1体を逃した。


『また8体だ!』

『了解!』


 ガガガガガガガガガガガガシューン

 ババババババババババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ ギィアーーーッ


 ガガガガシューン

 ババババッーーン

 ギィアーーーッ ギィアーーーッ


『次、4体。いや、待て、後ろに何かいる』

『えっ?』

『ブラックベアだ、そっちを狙え!』

『了解!』


 ガガガガガガシューン

 ババババババッーーン

 グュアーーーーーーーーーッ


 ブラックベアと呼ばれた魔物は、マッドボアの三倍ほどの巨体でマッドボアの上位種を更に上回る大きさだった。文字通り真っ黒な巨大なクマだ。おそらく象よりデカい。こいつが、マッドボアを狩っていたようだ。

 ブラックベアは魔動機関砲の弾丸を数発受けただけでは止まらなかったが、頭部に弾丸を受けるとさすがにどうと倒れこんだ。


『ブラックベアを倒したぞ~っ!!!』


 思わず西園寺が右手を挙げて叫んだ。


『『『やった~~~~~っ』』』


 隊員も声をあげる。


『次は、柚子!』

『はい!』


 早野は柚子に魔動機関砲を譲った。


  *  *  *


 こうして、最初の魔動機関砲の試し打ちは想定以上の戦いとなった。

 その後、更に10体ほどのマッドボアが現れ、柚子と西島も5体づつ討伐に成功した。


「凄まじい光景ね」


 おびただしい魔物の屍と血の海を見て俺たちはちょっと引いていた。

 さすがにそのままというわけにもいかず、巫女隊が三鈴ファイヤーで魔物を焼却してやった。


 このことにより、魔動機関砲に火炎放射器を追加装備として取り付けることになった。三鈴ファイヤーほどではないが魔物を燃やすだけの装備で、もちろん電気分解を使う。


 その後、魔動機関砲に加えて火魔法まで使えると分かった西園寺の喜びようはなかった。


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