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23 三鈴ファイヤーアロー

 その日の午後、異世界とつなぐと直ぐに三鈴ファイヤーの改造について異世界のみんなに伝えた。


『み、三鈴ファイヤーを強化したのか?』


 西園寺は、またかという顔をした。ちょっと畏怖の念という顔だ。


「そうだ。それで試しに使ってみたい」


 一瞬、間があった。納得するまでには時間がかかるんだろう。


『そうか。ただ、森の中で火炎攻撃の試験は危険だろう』


 西園寺も、どうしていいか迷っている様子だ。


「それで、魔物を空き地に誘導できないかと思ったんだが」


 俺はテスト方法を提案してみた。


『ああ、なるほど。ふむ、できなくはないと思う。ウォータージェットで追い出せばいいだろう』


「うん。それで頼む」


 だが、わざわざ俺たちが追い出すには及ばなかった。魔物自ら街の周囲に現れたと報告が入ったからだ。マッドボアが十数頭とのこと。前回とほぼ同じ規模だ。


『また来たか! 最近多いな。まぁ、さすがに今日に限っては好都合だがな』


 西園寺が含み笑いでそう言った。


『よし、さっそく巫女隊出撃だ!』

『『『はい!』』』


 西園寺が直ぐに巫女たちに指示を出した。


「それなら、今回も外壁の上から撃ってみましょう」


 乙羽はウォタージェットの時と同じような攻撃方法を提案した。


『外壁からか? 三鈴ファイヤーで届くのか?』

「恐らく!」


 乙羽の言葉を受けて巫女たちはちょっと顔を見合ったが、納得したのか前回同様に外壁に登った。

 俺と荻野はちょっと心配だ。確かに電源は強化したが、まだ何も試したわけではないからな。


  *  *  *


 街の外壁に登ってみると、既にマッドボアの群れが外壁の外で暴れまわっていた。

 何がこの魔物を追い立てているのか分からないが、まずは目の前の魔物の討伐だ。


 巫女たちは前回同様のフォーメーションをとった。

 壁に沿って紫雲、美琴、朝霧が並んでマッドボアを待ち構える。今回の魔物は、格上のリーダーがいないようだが、それでも先頭を走っているのがリーダーなのだろう。


『マッドボアの習性通りね。少し待てばまた来るでしょ。まずは先頭を潰します。これは私と美琴で。朝霧は最後尾から倒して。その後は各個撃破です』


 巫女隊のリーダー紫雲が指示を下す。


『『了解!』』

『『『三鈴アクティベーション』』』


 見てると、巫女たちは片手で胸の三鈴を押さえ、もう片手で手を合わせて「アクティベーション」と唱えていた。これ合図なんだろうか?

 そんな巫女たちを西園寺は遠目から眺めていた。


『来た! 三鈴ファイヤー用意! 撃て~っ』

『『『三鈴ファイヤー』』』

 ビューッ ビューッ ビューッ   ジュワッ ジュワッ ジュワッ

 ギュアーーーッ ギュアーーーッ ギュアーーーッ


 見ると、三鈴ファイヤーは前回より何倍も太い矢になり、手元のオレンジ色から紫色の炎へと変わり、先端は青い炎となってマッドボアに突き刺さっていった。同時にゴーというような重低音も響かせている。何気にちょっと恐い。

 射程も確実に伸びていて、余裕でマッドボアの体を突き通している。


 三鈴ファイヤーをくらったマッドボアは、その場で勢いよく燃え上がって転がった。


「凄い威力だな!」

「これ、もうファイヤーアローでいんじゃない?」

「ああ、ネーミング詐欺とか言われそうだもんな」

「そうだろう、そうだろう」


 もちろん、乙羽はドヤ顔である。


『『『三鈴ファイヤー』』』

 ビューッ ビューッ ビューッ   ジュワッ ジュワッ ジュワッ

 ギュアーーーッ ギュアーーーッ ギュアーーーッ


 すぐに街の外壁の空き地は凄いことになっていた。

 猛スピードで走っていたマッドボアが三鈴ファイヤーをくらって次々と燃えあがっていく。

 あたりは、あっという間に火だるまのレッドボアだらけになっていった。


『な、なんなんだこれは!』


 後ろから見ていた西園寺が驚愕の表情で固まっていた。

 一緒に監視していた討伐隊員たちも茫然と外壁の縁にしがみ付いている。


 いっぽう、最後の一体を倒した巫女たちは手をたたいて喜んでいた。


『やった~~っ』

『すごかった~っ』

『ありえな~いっ』


 三鈴ファイヤーを放った美琴たち自身も驚いてはいる。というか、興奮状態だ。


『ものすごい威力よね。水と違って反動があまり強くなくて最高!』


 紫雲の感想は、ちょっとテクニカルだな。


『あれだけの炎なのに、熱くないしね』


 朝霧は使い勝手が気になったようだ。


 確かに次元フィールドのおかげで熱は感じないしな。

 それでも、手元から離れたところから炎を発射しているのは、恐らく光が強いからだろう。可視光自体は次元フィールドでも防げないからな。この辺は自動で調整している三鈴AIを褒めるべきだろう。


「やっぱ、今までの三鈴ファイヤーとは違うな」

「そうね」

「威力は予定通りだな」


 ホントに乙羽の設計どおりなのか?


「これは『三鈴ファイヤーアロー』ってことでいいだろ」


 確かに。


「ということで、今後は『三鈴ファイヤーアロー』でよろしく」


『『『わかりました』』』


-了解!


 もちろん、三鈴AIも了解した。


「でも、弱い三鈴ファイヤーも必要よね」

「うん、それも使えるんだろ?」


-はい、もちろんです。


 さすが三鈴AI。


『三鈴、すご~いっ!』

『ほんと、三鈴は頼もしい!』

『うん、頼りになる!』


-恐縮です


 ほんと凄いぞ。会話のレベルも向上してる気がするし。

 そんなやり取りをしていると、西園寺がつと近寄ってきた。


『龍一殿、あとで相談があるんだが』


 かなり真剣な面持ちだ。


「うん? ああ、わかった」


 外壁の外に散らばったマッドボアの死骸は既に燃え尽きていた。

 魔石とチタン骨の回収は討伐隊の当番に任せて巫女たちは神社に戻ることにした。

 そういえば、魔石って魔物が燃えても残るんだな。超電導神経回路で覆われているからなのか? 内部に冷却装置でもあるのか? これはこれで報告すべきだろうな。


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