20 魔物襲来
美琴の期待は置くとして、正式に巫女隊がデビューした。
当然、本格的な魔物討伐をめざして経験を積まなくてはならない。そこでさっそく魔物討伐計画を練っていたのだが、いきなり緊急事態が発生した。
『西門に魔物の群れ出現! 西門に魔物の群れ出現! 討伐隊は至急対応願います』
街の監視員からの社務所に緊急連絡が入った。監視員はもちろん討伐隊の一員である。
『数は?』
西園寺が通話機を握る。さすが明治日本と交流していただけある。このくらいの設備はあるようだ。
『西門の南西にマッドボア十数体出現、うち上位種らしき大型の個体1を確認』
西園寺は通話機を持ったまま、しばし考える。
『外壁の上から魔法が届くかな?』
西園寺は三鈴ウォータージェットでの攻撃を考えているらしい。確かにそれなら巫女隊が外壁の外に出る必要がなく安全な戦い方だ。
『やってみましょう!』
紫雲が、自信ありげに言った。
『やりましょう!』
『任せてください!』
まぁ、巫女隊なら壁の外に出ても戦えそうだが、次元フィールド自体は強力でも、突き飛ばされたりしたら身体自体にはダメージが来るから注意が必要だ。
『よし! 巫女隊にマッドボア討伐を頼む!』
『了解!』
『じゃ、巫女隊出動! 三鈴アクティベーション!』
紫雲が元気よく言った。
『『はい! 三鈴アクティベーション!』』
無敵になった巫女隊の三人は、ためらいなく外壁の上へと走るのだった。
先輩の紫雲が巫女隊のリーダーらしい。
* * *
『状況は?』
巫女隊に続いて外壁西門の屋上に到着した西園寺が監視していた討伐ネギに聞く。
『現在、確認している個体数は十五、うち大型の一体が先行して街の周囲を巡っています』
『周囲に一般人は?』
『東西南北の門外にいたものは全員門内に避難しています。討伐隊は門内で待機中』
『了解。よし、これなら好きにできるぞ!』
西園寺は巫女隊に向かって力強く頷いた。
『分かりました!』
直ぐに巫女隊は外壁の屋上で一列になり、魔物の様子を窺った。
『ここで一気に殲滅します。ウォータージェットでいくよ』
-了解
『はい』
『わかった』
見ると、既に水道水は勢いよく吸引されている。三鈴AIが準備に入ったようだ。
『来た! 引き付けて先頭の親玉から攻撃します! その後は各個撃破!』
『『了解』』
紫雲が二人に作戦を伝えた。
まず、先頭の巨大なマッドボアが見えてきた。通常のマッドボアの二倍はある。体長にして4~5mくらいか。
『三鈴ウォータージェット!』
『三鈴ウォータージェット!』
『三鈴ウォータージェット!』
ヒューン ヒューン ヒューン ジュバッ ジュバッ ジュバッ
グァーーーッ グァーーーッ グァーーーッ
「「「おおお~」」」
三人が順に三鈴ウォータージェットを発射し先頭のマッドボアを打ち抜いた。巨大マッドボアは大きな叫びをあげ血をまき散らしたが、まだ止まらない。
これを見て、さらに巫女隊の攻撃が続く。
『『『三鈴ウォータージェット!』』』
ヒューン ヒューン ヒューン ジュバッ ジュバッ ジュバッ
グァーーーーーーッ
巨大マッドボアは、さらに血をまきちらし数歩進んだが突っ伏して動かなくなった。
二度目は、三発もいらなかったかもしれない。
『やった! 次、各個撃破に移行!』
『『了解』』
この後は、あらかじめ割り当てた魔物に狙いをつけて三鈴ウォータージェットを発射していった。先頭が紫雲、中間は美琴、最後尾は朝霧だ。それぞれが五頭ずつ倒せばいい計算だが逃げないように周りから撃ちこんでいく。
『美琴、南に逃げたのを追って!』
紫雲は射程外に逃げる個体を美琴に任せた。
『了解』
『三鈴ウォータージェット!』
ヒューン ジュバッ
グァーーーッ
「やった~っ!」
『朝霧、親玉の影にいるのをお願い』
『了解』
『三鈴ウォータージェット!』
ヒューン ジュバッ
グァーーーッ
「よしっ!」
こうして、戦闘が始まって十分ほどで全てのマッドボアが打ち倒された。
リーダーだったマッドボアが最初に倒れたため、残りのマッドボアが迷っていて、うまく殲滅できたようだ。それにしても早い。
『お前ら、凄いじゃないか!』
『はい、やりました!』
『『はい!』』
西園寺が称賛した。巫女隊もまんざらではない様子。
「ほんと凄いね」
「俺たち見てただけだな」
「巫女隊の成長が凄まじい」
もちろん、三鈴AIの成長も。
てか、三鈴AIの成長こそが凄まじい。さすがに俺が導入したAIだ。嘘は言わないし謙虚だな。そのうちギャグを言いそうなのが、ちょっと怖いが。




