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16 巫女隊出撃

 巫女隊ができて一週間が過ぎた週末、俺たちは巫女隊の魔物討伐に立ち会った。


 この一週間も巫女隊は西園寺討伐ネギの訓練を受けていたようだが、AI化もあってかなり手ごたえのある訓練になったようだ。

 森に向かう馬車に揺られつつ、訓練の様子を教えてくれた。


『もうすっかり、三鈴の精霊と仲良くなりました!』


 そうなんだ。精霊じゃないけどな。


『三鈴精霊とは凄いな。状況を見て素早く防御してくれていたぞ』


 西園寺が絶賛した。だから精霊じゃ……ま、いっか。

 なるほど、エフェクトの操作が間に合わない状況で、AIが自動でオンにしたのか! さすがだ。


「予想以上の働きなんじゃない?」


 荻野もびっくりしてる。


「そうだな。っていうか、想定外に近い」

「そうか? 俺的には期待通りってとこだな!」


 乙羽的には予想通りらしい。ほんとかよ。


『美琴が危なく馬に蹴られるところだったもんね』


『う、ばらしてるし』

『そうそう。馬の後ろに立っちゃダメだって言ってたのに!』

『はい、そうですね。勉強になりました』


「三鈴AI、頼もしいな」

「ほんとよね」

「だな」


 そんなことを話しているうちに、前回よりも深く森の中に入っていった。

 そうはいっても馬車なので森の中と言っても街道を走ってるだけではある。


「そういえば、この街道って、あまり使ってないのか?」


 下草に覆われた街道を見ると、頻繁に使ってるようには見えなかった。


『魔物が多くなって隣り街との交易が減りました。隊商もいますが護衛が大変なんです』


 美琴は残念そうに言った。


『我らが護衛に付くんだが魔物も増えたし難しくなったのだ。だが、巫女隊もできたことだし、これからは違うだろう』


 西園寺がそういうなら、大丈夫なんだろうな。


『がんばります』

『私も』

『……』


 朝霧は、頷くだけだった。


『よし、今日はこの辺でいいだろう。そろそろ魔物の群れに慣れないとな!』


 そう言って西園寺は馬車を止めた。

 まだ、一時間ほど森に入ったところだ。ここは魔物の群れが出てくるような

場所らしい。

 前回の訓練のときとは違い樹木の密度も増している。これだけ太い木々が密集していれば、あまり大型の動物はいないと思うのだが、魔物の場合は違うんだろうか?


『三鈴アクティベーション!』


 西園寺に続いて元気よく飛び出した紫雲が三鈴の次元フィールドを有効化する。


『バタバタ倒してやる! 三鈴アクティベーション!』

『が、頑張る! 三鈴アクティベーション!』


 美琴は、あまり自信ないのかな。

 てか、コマンド名それでいいんか?


  *  *  *


 西園寺と巫女隊は、馬車を止めた街道から森の中へと少しずつ入っていった。

 下草はあまり高くないのだが、地面が石だらけで歩きにくいようだ。


『三鈴のおかげで、虫が気にならないのがいい』


 美琴が嬉しそうに教えてくれた。

 次元フィールドに包まれてるからな! そういう効果もあったか。蚊の針も、蜂の針も次元格子には通らない。そもそも、タンパク質の毒も通らないから痒くならない。


『そうだね。気持ちが全然違う』


 紫雲も同意した。


『気合を入れれば一鈴でも、結構防げるけどな! まぁ、三鈴にはかなわないが』


 西園寺は気合と一鈴で何とかするようだ。そんな効果もあるのか?


『凄くいいよ』

「わかるわかる」


 朝霧も荻野も分かるらしい。同じ女子だもんな。


『ん、静かに!』


 西園寺の一言で、全員が止まって聞き耳を立てる。


-右前からマッドボア五頭。


 いきなり、三鈴AIから報告が入った。

 なにこれ、いつの間にこんな機能付いた?


『よし、散開! 木の影に入れ!』


 前回と同じマッドボアらしいが五頭の群れらしい。作戦は前回と同じだ。


「マイクの感度がいまいちね」

「別系統の高性能マイクが必要だな」

「アキバで買ってくる!」


 地球の開発室で小声で話し合う俺たち。

 カメラ付属のマイクだから感度はあまり高くない。高性能マイクに変えたら、もっと早く報告してくれそうだ。

 ただ、AIのおかげで今の状態でも分析能力は高いようだ。


『来るぞ! 抜刀!』


 巫女たちは、それぞれが木々の間から抜けてくるマッドボアを狙う。


『来た!』


 ズバッ


 まずは西園寺が大木の影から一閃。マッドボアから血が吹き出した。


『や~っ』


 スパッ


 今度は、朝霧が彼女に向かって来たマッドボアを軽く切り伏せた。こちらも勢いよく血を吹いて倒れる。


『え~いっ』


 スパッ


 美琴のところにも来たが、さすがの切れ味だ。あっさりとマッドボアは倒された。

 凄い、ちゃんと訓練の成果が出てる。

 巫女隊は一瞬で三頭のマッドボアを倒してしまった。あと二頭だ。


『また来た!』


 今度も美琴だ。だが、さっきとは逆側だ。


『えいっ』


 スポッ


 身体をひねって刀をだした美琴だが牙を切っただけに終わる。


『任せろ』


 スパッ


 美琴が倒し損ねたマッドボアを、紫雲が反対側から切り倒す。

 続けて西園寺が最後の五頭目を切り捨てて魔物との戦闘は終了した。


「凄いな~っ」

「ほんと、凄いわね!」

「マジですげ~っ」


『うん。お前ら見事だ!』


 西園寺も巫女隊を絶賛した。


『えへへっ。三鈴のおかげです!』

『ほんとにそうです』

『魔物討伐しちゃった!』


 美琴と朝霧は初めての討伐なのか、ちょっと興奮気味だ。


『他に魔物はいないみたいだな。よし、ちょっと休もう』


 巫女隊と西園寺は近くの倒木に腰を下ろして水を補給することにした。


「そういえば、水って出せるよね?」

「えっ? ああ、スポイトでだけど?」

「もっと出せないかしら?」

「ペットボトルとビニールチューブならあるけどポンプがないな」


-ペットボトルとビニールチューブがあれば、ポンプは不要です。


 へ? 三鈴AIが応えた。可能なのか? ホントに?


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