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5.コンビニのちファミレス

 おっ、どうもどうも。姫野(ひめの) 葉月(はづき)だよ。

 今日はね、私の前世であるジャパンに異世界の友人で冒険者をやっているフローラさんと来ているよ〜。

 冒険者というだけあって、普段の彼女は武器や防具で身を包んでいるワケだけど⋯⋯

 まぁ当然、そんな格好のまま日本に現れたらニュースになっちゃうからね。ここに来る前に対策はしているよ。

 「葉月空間」っていう選ばれし者しか入れない場所があってだね。そこに入った者は日本に馴染めるよう姿が変わるのだ。

 説明しよう! 「葉月空間」とは姫野 葉月が創り出した特別な空間なのだ! 詳しくは前話を読みたまえ! 説明終わり!

 んまっ、こまけーこたぁいいんだよう。私としては派手な騒ぎにさえならなければいいし。

 というかぶっちゃけ、場所によっては「コスプレです」って言えば何とかなりそうだけどねー。


「──ハヅキ。そういえば、貴女がさっき言ってた用事ってなにかしら?」

「ん、まぁ大した事じゃないから さっさと済ませちゃうよ。

 ⋯⋯ところで、やっぱり()()も似合うねフローラさんは」

「そうかしら? あまり慣れないから、少し変な気もするけれど⋯⋯」


 前髪を指先でいじりながら、フローラさんがボヤく。

 普段の炎みたいな緋色の髪は黒く変化して、長さも腰の下くらいから肩の下くらいまで短くなっているね。

 ルビーのような瞳も焦げ茶に色が変わっていて、一見するとハーフっぽいアジアの美人って感じかな。

 もちろん、フローラさんのこの変化は私が仕組んだものだ。

 実は、日本に来る時に通ったあの扉⋯⋯。アレには通った人にいくつかの魔法が掛かるようにしている。

 一つが髪の毛と目の色が黒かそれに近い色になることだね、日本に馴染めるように。

 二つ目は角や尻尾や獣耳なんかが消えて人間の姿に変化する事かな。髪型の変化もこれに含まれるてるよ。

 あぁそれと、私と私の同行者の周囲を空気清浄し続けるのもあるね。

 これはちょっとねぇ。やっぱり私の前世って文明社会だし、異世界(あっち)とは空気の清潔度が違いすぎるんだよね。

 私の友人に排気ガスとかの汚い空気を吸って欲しくないし、私のお節介って感じかな。

 まぁ互いの世界に存在するウイルスが流入しちゃう可能性も考えて、万が一の対策という意味もあるけど。

 あとの魔法は位置情報の共有とか、魔力や身体能力を大幅にセーブしたりするとかかなー。

 まぁセーブするっていっても、それは本人の最大ステータスに応じた割合での変化だけど。

 フローラさんなら、大抵のスポーツ大会でぶっちぎり優勝ができるくらいに能力は維持されているね。流石だよ。


「⋯⋯それにしても、やっぱり不思議な所だわ。文明ってこんな風に発展するのねぇ」

「どうかなぁ? あくまでこの世界は1つの可能性だからね、フローラさんの方の世界が同じ進歩を辿るとは限らないよ」

「ううん⋯⋯確かにそうね。魔物の存在の有る無しでも変わるでしょうし、魔法も無いとなると話も違ってくるものね」

「そーゆーことっ」


 閑静な住宅街をフローラさんとお喋りしながら歩く。

 やっぱりこの人は頭が良い。単なる好奇心だけではなくて、色んな視点でこっちの世界を観察しているよ。

 自分たちの世界と比較したり、根本的な違いに気付いたり、異世界からの観光人としてもね。

 私も、自分が住んでいた世界を紹介するのが楽しくなるよ。

 それに引き換えフィーナちゃんはさぁ。前に初めてこっちに連れて来た時は、もうすごかったな。

 あっちこっち走り回るし、道行く全員に声を掛けて回るし、お散歩中のワンコに喧嘩売るしで⋯⋯ヤんなっちゃう。

 まぁテリヤキエッグバーガー食べさせたら一瞬で落ち着いたんだけどね。

 あの時の満面の笑みには思わずお母さんみたいになっちゃったよ。カワイかったから今度また連れてこようっと。


「そう言えばさ〜? これから行くファミレスって期間限定のいちごデザートがあるんだって」

「へえ、気になるわね。私も頼んでいいかしら?」

「全然いいよう。こっちでの今の私は余裕があるからねぇ」

「やった。そしたら元の世界で今度なにか奢らせてもらうわ。──あら?」


 ふと、フローラさんから疑問げな声が聞こえる。

 理由は、私が道沿いのコンビニへと方向転換したからかな?

 ⋯⋯まぁフローラさんも、この世界に来るのは今日を含めてまだ4回目だもんね。

 案内人の私が突然こんなカラフルな建物に入るのは不思議に見えたのかな。


「ここは⋯⋯“こんびに”だったかしら?」

「そうそう、これがさっき言った用事。ATMでお金を下ろしたいんよ」

「お金を⋯⋯おろす⋯⋯? その“えーてぃーえむ”っていうので?」

「そうそう。引き出すって言えばよかったかな。コンビニの中には小型の銀行みたいなのがあるんだよ〜」

「へええ⋯⋯。便利ねぇ本当」


 感心するフローラさんを連れ、いざコンビニへ入店。

 ふむふむ、自動ドアや入店音くらいならもう驚かないみたいだね。最初に来た時とは全然違うなぁ。

 「この扉は裏で動かす人がいるの?」とか、「天井裏で演奏するなんて大変ね」とか言ってて面白かったよホント。

 まぁ今後も色んな事に驚いてもらう予定だけどね、ふひひ。

 えーっと、さてさて。お金を下ろすついでに残高の確認もしておこうかな。お財布お財布。


「──なぁに? その小さな⋯⋯板?」

「キャッシュカードっていうの。まぁコレにお金が入っているって感じかな?」

「それに? ⋯⋯じゃあ、それをこの“えーてぃーえむ”で換金するって事かしら?」

「換金とはちょっと違うかなー。これはあくまで私の所有物」


 ふふふ。フローラさん、興味津々みたいだね。

 それじゃあカードを差し込んでから⋯⋯まずは『残高確認』をポチッとな。

 う〜む、『367,576円』ねぇ。以前の残高が大体20万円で、今月分のお給料が16万円くらいだったから⋯⋯

 1ヶ月の遊び代を5万円として、こっちの世界の食料買い溜めに4万円、スマホ代とネット代が合わせて1万円くらいで⋯⋯

 「葉月空間」の設備を揃えるのに3万円は使いたいから残りは3万円⋯⋯。ってことは、貯金額は23万円って感じかぁ。

 これだけ貯まってるのであれば、そろそろホームセンターに行って大型家電の購入も検討していい頃かな?

 ⋯⋯って、フローラさん。カードは吸い込まれちゃったワケじゃないよ? そんな屈んでまで差込口を覗かないの。

 分かった? 本当に? それにしては屈んだままだけど。

 キャミワンピなんだし、そんな体勢してるとお尻が浮き出ちゃうから⋯⋯おやめっ!


「きゃっ、ちょっと。なんで叩くのよ」

「良い尻だったから」

「ええ⋯⋯?」

「良い尻だったから!」


 動揺気味のフローラさんをスルーして、5万円を引き出す。

 当面の間はこのお金でやりくりしよう。⋯⋯あぁそうそう、明細も大事だから受け取っておいてと。


「待たせちゃってゴメ〜ン。んじゃ、行こっ!」

「ええ。前に食べたお店で合ってるかしら?」

「そうそうそう。あそこ私の行きつけなの〜」


 フローラさんを引き連れコンビニを退店し、足早にファミレスへと向かう。

 その道中、救急車やらクレーン車やらの乗り物であったり、スーパーや飲食店を見つけては質問をされた。

 あれは怪我や病気の人を運ぶ乗り物で〜とか、あれは焼肉っていう食べ物のお店で〜とか、説明していてすごく楽しい。

 いつかお金にもっと余裕が出来たら、東京とか京都とか⋯⋯沖縄、北海道なんかも連れて行ってあげたいね。

 まぁ現在地が神奈川だからなぁ。軽く観光する程度なら東京や埼玉、静岡くらいには行こうと思えばって具合かな。

 フィーナやフローラさんが富士山を見た時のリアクションってどんな感じなんだろう? 面白そうだなぁ。

 あとは大阪なんかも──って、そこは私が修学旅行で行くはずだった所か。

 残念無念。その前にチーンだったけれど⋯⋯


「──着いたわね。入りましょ、ハヅキ」

「うん! フローラさんもドリンクバー付ける?」


 まっ、今は今で楽しんでるからいっか。

 ようし、今日は欲張っちゃおう! ドリアとポテトと辛いチキン! で、いちごのデザート! 太るって? おだまりっ!

 クエスト終わりでフローラさんもお腹減ってるだろうしね、2人でいっぱい食べちゃうぞー!

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