3.クエスト後にはファミレスへ
こんにちわ! 私は異世界に転生した元女子高生!
今日は友だちのフローラさんとクエストにお出かけです!
すっごく強い冒険者さんで、それでいて美人で優しくナイスボディなおねーさんなの!!
って、少女漫画風にしては最後に本心が出過ぎちゃったか。
コホン、では改めまして。どうも、美少女を名乗る美少女、姫野 葉月です。
本日は超巨大な岩巨人の討伐跡地、「巨岩の荒地」でのクエストにフローラさんと来ています。
クエストの内容は、当該地域で大発生したフツーの岩巨人のお掃除です。
報酬は⋯⋯どれくらいだっけな? まぁそこそこ貰えるって言われた、ってフローラさんが話してくれたね。
「──ハヅキ、もうすぐ現着よ。貴女はどう動く?」
「んー。手分けした方が早く片付きそうだから、私は東側からぐるっと回り込もうかな。挟み撃ちにしよう」
「分かったわ。じゃあ、私はこのまま真っ直ぐ進むわ」
カチャリ、と鎧の上から腰に手を当てるフローラさん。
この前のぐでっとした服装からは想像出来ないくらい、今日は凛々しい見た目をしているねぇ。
なんて言うんだろう。全体的に薄めの鉄板で作られた鎧で、フローラさんの綺麗なボディラインに沿っている感じだね。
腰当てには、ベースの白色を縁取るように金色の薔薇と蔦の模様が入った薄い布が縫い込まれているけど⋯⋯
遠目に見るとワンピースみたいだね。凛とした雰囲気のフローラさんに、可憐で美麗な防具がよく映えているよ。
左右の腰に一本づつ差しているレイピアは⋯⋯前にフローラさんが教えてくれたっけ。左の剣が「ヴァーミリオン」、右の剣が「ルビーレッド」って名前なんだって。
鍔が金色の薔薇を模倣した形状で、柄にはその薔薇の蔓が伸びているような⋯⋯
って、ズルい! なにそのメインキャラクター要素! せめてその見蕩れとれちゃうような緋い髪の毛よこせっ!!
「ところで、貴女はそんな装備で大丈夫なの?」
「大丈夫だ、問題ない⋯⋯。へへ、いつもの事でしょ?」
「⋯⋯まぁ、貴女は隠密行動が得意だものねえ。いつの間にかしれっと片を付けてるのが不思議だわ」
「ふふ、まぁーねぇー」
隠密行動が得意。というのは、一応事実かなぁ。
“相手に姿を見られないうちに仕留める”というのが隠密の定義だとすれば、ね。
⋯⋯流石に黒パーカーとジーパンでクエストへ、っていうのは心配かけちゃうみたい。今度から気を付けよっか。
「──兎に角、お願いだから気を付けてちょうだいね」
「まっかせなさい。⋯⋯あ、このクエストが終わったらなにかご飯食べにでもいく?」
「あらいいわね。アレ、また行きたいわ。“ふぁみれす”」
「ファミレスー? もっと他のトコ行こーよー」
2人で作戦会議をしながら、「巨岩の荒地」へと向かう。
ところで、今回は徒歩でクエスト現場へ向かっているワケだけど⋯⋯。あのーちょっといいかなギルドくん??
客観的にみて、この“大量岩巨人の掃討作戦”はそこそこ規模のあるクエストだと思えるんだけどさ。
せめて、馬車一台くらいは用意してくれるべきじゃないってこの葉月ちゃん思うのよ、ねえ?
青い空の下で美女とお散歩っていうのは悪くはないけど⋯⋯
お金無いの? お嬢様が貸して差し上げてもよくってよ??
なんにせよ、“クエストを任せるけど現場には自己負担で行ってね”というのは横暴というかヒドさを感じるよ。
このクエストの作成元ってどこのギルドだったっけな⋯⋯?
有名ドコだと「スレイヤーズギルド」「帝国立憲兵隊」、優秀な戦闘員が揃ってるって最近話題になっている、派遣会社「ヒノモト」の3つだけど⋯⋯
ここらの地区を管理しているのは確か、「帝国立憲兵隊」だった気がする。
よおし。今度“あの帝国”に行った時は私が直接クレームを言ってやる! お覚悟なさい帝国さん!!
「ねえ、ハヅキ。聞いてるの? ボーっとして」
「えっ? あぁ、聞いてる聞いてる。とにかく別々で動こう、手短に済ませたいからね」
「ホントに聞いてたのかしら、もう。──さあ、着くわよ」
んおっ、本当だ。荒地が見える。
1kmくらいは離れてそうだけど、ここからでも巨大に感じる岩がゴロゴロしているよ。なんか遠近感バグるね。
⋯⋯おや? あれが例の大発生した岩巨人とやらかな。砂煙モクモクでよく見えないけど。
さぁてさて。姫野 葉月、いっちょ働きますかね。
このクエストが終わったら、いつものファミレスでドリアとポテトかなー。あとはドリンクバーと⋯⋯
あっ! 向こうで話題になってる期間限定いちごデザートも食べたいかも!!
自分とフローラさんの2人分だとお会計いくらくらいになるかなぁ? お給料日がこの前だったから、余裕はあるハズ。
うむうむ、憂いはナシ。よし、さっさと片付けちゃうぞー!
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