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最強の能力者  作者: 夜々
2/2

森の中の出会い


超展開w

つまんないですかねー?

正直自信ないですw

なんてネガティブ!!ww

謎ですね






ここでは、比喩ではなく本当に、静かに、そしてゆっくりと時が過ぎていく。


だからフィーネ達はこの森に入ると、いつも不思議そうにあたりを見渡してしまう。


いや正確には、二人に限らず全ての冒険者が、だが。


まだ入り口だというのに暗い。あまりに暗い。


そして視界に入る全ての存在に、動きが無い。


それはまるで侵入者を拒否し、森そのものが時を止めているかのようだった。



空気さえ動かないこの森に、二人は足を踏み入れる。



「相変わらずだね、この森は・・・」



フィーネが、どこか畏怖のこもった声色で言った。



「うん・・・誰かが特に名前をつけたわけでもなく、その特異な性質から、旅人や冒険者にはそのまんま『揺らぎの森』って呼ばれてるんだよね、確か」



そう、この森は『揺らぎの森』。


時間も空間も色も全てが『曖昧』な場所。


数年に一回のペースで全てが揺らぎ、変化する。


ただ一つ、『森であること』を除いては。


その理由も秘密も全てが不明で曖昧なため、人々は必要以上にここに留まろうとはしない。


ただの不気味な通過点としてみな過ぎ去っていく。


フィーネ達も同じように、気持ち早歩きになりながら森の中を歩いていた。



「・・・あ。ねえリィ、今、少し『揺らいだ』?」



「いやいやいや、私は普通の人間ですから。そんなもの感じることは出来な・・・・・・あれ?」



肌にまとわりつくような雰囲気を引きずりながら二人は歩いていたが、唐突にフィーネが何かを感じたらしく、空を仰いだ。


だがそれはフィーネの特殊な体質によるものではなく、リィラも感じているようだった。



「なんか・・・少し暗くなってない・・・?」



この森では、時間や空間程の基本概念とも呼べる絶対的なものならまだしも、色合い程度なら頻繁に変化する。


言われれば、「あ、そうかも」と思う程度ではあるがフィーネの場合はその変化を見逃すことはない。


だが今回は、厳密に言うと色合いなどではなかった。



「うん、暗く・・・っていうか、重く、なってる・・・。重力自体が、揺らいでるのかも。暗く感じたのは多分精神的なものかな。でもまさか重力が変化するなんて・・・。普通はありえない」



「重力か・・・。だよね、この森の大規模な揺らぎは何ヶ月か前に終わったし、重力ほどの大きな現象の変化はあと数年は起きないはず・・・うわ!?」



「!?」



いきなり、重力が数倍になって二人を地面に縫い付ける。


なんとか這いつくばることは逃れているものの、時間の問題と思えた。


二人は悲鳴をあげることも出来ず、ただ歯を食いしばりじっと耐える。


周囲の木々も、枝が45度ほど下の方向にしなっている。


あまりの圧力に耐え切れず、半ばから真っ二つに折れるものまで出てきた。


それほど大きな力だったが、しかしそれは一瞬のことで、あっという間に正常な重力に戻る。



「は、はぁ・・・び、びっくりしたぁー! 何、今の・・・。大丈夫、フィーネ?」



「大丈夫、だけど・・・」



と、フィーネは額の汗を拭いながら続ける。



「流石にこれはおかし過ぎる。こんな急激な変化、聞いたこともないよ」



「それは私もだー・・・」



二人は結構な実力者なためこの森に対してもさほど警戒はしていなく、なんとかなるというスタンスで進んでいたが、ここに来て、ようやく明確な恐怖を抱いた。



「早く、出よっか。あとは今のでこの森自体が揺らいじゃっていて、出口が無くなった、なんてことになってないことを祈るばかりだね・・・」



「うん、分かってる。でもね、なんか・・・感じるの・・・」



「・・・こ、こわっ・・・」



「そうじゃなくて!! ・・・誰か、いるの・・・?」



何の確証も無かったが、フィーネは虚空に向かって話しかけた。


隣ではリィラが胡散臭そうな目をして親友を見つめていたが、何も起こらないことを確認すると、



「ちょっとー、フィーネ? 本当に、ただの痛いコだって、それじゃあ・・・」



「ち、違う!! 本当に、感じるんだってば!」



必死の弁明も、リィラには届いていない。



「もう、帰ろ? 見てらんないよ(笑)」



「う~。じゃ、最後にもう一回だけ・・・。誰か、いるの? 出てこないと、燃やし尽くしちゃうよぅ・・・」



ダメもとで問いかけてみたが、驚くほど早く返答があった。



「うわ~、それはちょっと嫌だなー。いくらなんでも、それは全力で阻止させてもらおっかな?」



「!! 誰!?」



リィラが一瞬で武器を抜いて構えた。


すでにあのふざけたような目はしていない。


武器は銃。


魔力を弾丸に射出する方式の魔銃だ。


赤とピンクという派手な色の魔銃を両手に持ち、いきなりの訪問者(相手からすればこちらの方が訪問者だろうが)に突きつける。


その距離、10メートル程。


撃てば一瞬もしないうちに心臓を貫くことができる。



フィーネも戦闘態勢に入っていた。


しかし、武器などは持たない。


魔力を効率良く変換するため媒介である、魔銃などの魔法武器の類はフィーネには必要ないし、ましてや魔力を扱う者に普通の武器はさらに意味がない。


魔法を使う者の中にも、ある程度のレベルに達すると媒介を必要としない者はいるが、フィーネは次元が違う。



自分自身が『媒介』であり、『武器』なのだから。



自分なりに最も動きやすいと思っている態勢で相手の出方を待つ。


眼は・・・ほんのりと、だが確かに、紅い。



「誰? どうしてこんなところにいるの?」



訪問者・・・もとい、少年は軽く頭をかきながら、困ったように笑う。



「うーん、俺もよく分からないんだけどさ、ちょっと転移してみたらたまたまこんなところに・・・来ちゃった?って感じかなぁ」



またうーん、と唸りながら、思い切り警戒心丸出しのフィーネ達を見て言った。



「とりあえず、警戒は解いてくれない? 別に危害を加えようなんてこれっぽっちも思ってないし」



少年は右手の人差し指と親指で『これっぽっち』を表現する。



「ってか、おかしくないか? なんでたまたま人に出会っただけでそんな警戒する? まさかご丁寧に道行く人々皆にいちいち銃を向けてる訳じゃないだろ?」



「場所が普通じゃない上に、状況も状況でしょう?」



リィラがもっともな指摘をするが、少年にはいまいちピンと来ていない様子だった。



「・・・? ここって、なんかおかしいのか? まぁ確かに異常だが、こっちの世界じゃこれが普通なのかと・・・」



「うん? なんて言ったの? 良く聞こえなかったけど?」



「あ、ああ、気にすんな。なんでもない」



「・・・あらそう。それよりあなた、ここがどこなのか分かってる?」



まさか会ったばかりの人にいきなり、異世界から来ましたー、なんて言うのも気が引けて、どう答えたものかと少年が首をひねっていると、フィーネが助け舟を出した・・・というより、核心をついてきた。



「君からは違和感とか矛盾しか感じないよ。本当はこの世界に存在するはずのない存在、とでも言えばいいのかな・・・」



「・・・はぁ? 何言ってるのフィーネ?」



リィラが抗議の声をあげるも、フィーネは構わず続ける。



「この間感じた違和感と全く同じものを感じるの。リィなら分かってるでしょ、わたしの変な力。それに多分さっきの異常な揺らぎも、この人が色んな矛盾を抱えたまま、この森に転移によって無理やり入り込んだのが原因だと思う。この森が一瞬だけこの人の出現に驚いたんだけど、すぐさま『揺らぐ』ことによってその矛盾に、これも一瞬で対応した。だからさっき・・・」



「待て待て待て待て、そこの電波少女。・・・真偽は別とはいえ、こんな短時間で特に動揺もせずにそこまで考えられるフィーネには正直尊敬さえ覚えるよ。でもだったら何? 結局、この人はなんなの?」



リィラは頭が痛い、といった風に手を額に当て必死に状況を整理している。



「うんと、わたしの予想だけど、この人は多分・・・」



「待て待て待て待て、そこの美少女。勝手に話を進めるんじゃない!」



少年はあきれたように溜息をつくと、あまりにもバレるのが早すぎるとはちらっと思ったが、ついに観念し、



「ったく、誰かさんの不思議能力のせいで予定が狂いまくりだ。なーんでこんな森に出たんだか・・・。せめて、自分の口から言わせてくれ。そっちの、フィーネ?だかって子はもう気付いてるんだろうけど」



もう一度盛大な溜息をつきながらも、少年ははっきりと告げる。



「お察しの通り超能力者です・・・じゃなくて、まぁお察しの通り、俺は異世界から来た。(ヒイラギ)(ユウ)だよ。まぁとりあえずよろしく?」



リィラの驚愕も、フィーネの困惑も全部スルーしてこの少年・・・結はさらりと、そんなことを言ってのけた。











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