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八王子のスーパー

1995年7月30日。東京・八王子の片隅にある小さなスーパー「ナンペイ」は、夜も更けて閉店作業をしていた。

アルバイトの女子高生2人と、パートの女性店員1人。たった3人で、棚を整理しレジを締める、いつもの光景だった。


だが、その夜は違っていた。

閉店直後、突然侵入してきた男が彼女たちを銃で撃ち、店内の事務室で3人とも命を落としたのだ。現金はほとんど奪われておらず、犯人は今なお捕まっていない。

――これは実際に報じられた「八王子スーパー射殺事件」である。


それから20年以上が経ち、建物は取り壊され、跡地は普通のマンションになった。

だが、近所の住民のあいだでは奇妙な噂が絶えなかった。


夜中、マンションの一室から「カチカチ」とレジを打つ音が聞こえる。


深夜に自販機の前を通ると、制服姿の女子高生が2人、笑いながら歩いているのを見た。振り返ると誰もいない。


工事をしていた作業員は「事務室のあたりにだけ風が通らず、妙に冷えた」と語った。


そして、ある引っ越してきた住人の女性は、深夜に「ガンッ」という銃声のような音で目を覚ました。ベランダに出ると、かつてスーパーの出入り口だった位置に、制服の少女が立ってこちらを見上げていたという。目が合った瞬間、少女の顔に黒い穴のような影が広がり、消えた。


未解決のまま年月だけが過ぎ、犯人が誰だったのか、なぜ3人を撃ち殺したのかは未だ分からない。


だが、あの夜確かに「突然に日常を断ち切られた人々の恐怖」が、今もその場所に刻み込まれている。

そして今も深夜になると、跡地を通る人々は耳を澄ます。


レジの音と、女の子の小さな笑い声が、かすかに聞こえてくるという――。


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