そして彼女は降臨した
久々に変態乱舞TS作品。気晴らしで書いてるので完全不定期更新です
そして彼女は降臨した
□■□
とある女神は思いました
女が強い世界はどうだろうかと
子を産むため生命に満ち溢れた身体を持つ女らに、力を与えたらどうだろうかと
筋力が弱いならば魔力を与えようと
魔力を持って肉体の力を強化すれば良いだろうと
そしてとある世界を改変すると、ニコリと女神は笑いました
あぁ、もう世界に悲しい出来事は起きません、と
母が生む子は間違いなく自分の子ですから托卵と言う概念はありえません
そう、貴族の子も平民の子も、自分を家長の子だと胸を張って言えるのです
これで世界から庶子などという悲しい存在が生まれることが無くなったのです
男は喜ぶでしょう
家で守られ、ただただ女を抱いていれば良いのですから
魔力を与えたことで女たちの精力が強くなってしまったのも、また丁度良いのです
あぁ、なんと素晴らしい世界でしょう……女神は世界を眺め、そして女神は用事を思い出します
浮気性で方々に精をばらまく主神、彼の本妻として主神を諫めねばなりませんでした
そして100年ほど主神にお説教をし、100年ほどラブラブベッドインをした後、女神はその世界のことをころっと忘れてしまったのです
それから数千年。
とある女神見習いがその世界を見つけたことで、お話は始まります
□■□
ペツォッタイト家。
三大国の一つと呼ばれるダイヤモンド王国、その公爵位を持つ家である。
王国有数の武闘派と言われるその現当主は戦女神と呼ばれるほどの豪傑であり、その長女にして一人娘たる少女の名を、リン。リン=ペツォッタイトと呼ぶ。
「ふぅむ」
「美しいですよ、リンさま」
その少女、リンは転生者である。地球で死に、女神から力を貰い、チートきたーと叫んだテンプレ転生者。そんな彼女は当然のように自分につけられたメイドに濡れた身体を拭かれながら不満気に鼻を鳴らす。
「朝風呂なしでもう少し寝たいんだが?」
「それはいけません。この美しい桃髪に寝癖がつくようなことがあれば人類の損失ですわ」
腰まであるピンク色の美しい長髪は地球人がもつそれではない。だが、それでも目の前の姿見に移る姿には何とも言えぬ既視感がある。そうハリ〇タかゼ〇魔か、そのヒロインを思いっきり幼くすれば今のリンの姿によく似るであろう。と、そう考えると何かコスプレでもしているかのような気恥ずかしさを感じながら、リンはハァとため息をつく。
「身体まで磨き上げる必要はないだろう?」
「匂いますので」
メイドの言葉にリンが目を丸くする。
「にっ!?……臭いのか、俺?」
「わ・た・し、です。リンさま」
「悪い。もしかして私ってクリスからしても臭いのか?」
一人称だけにはうるさいメイド、クリスチナの言葉に、自分ではわからぬ体臭に、おそるおそるとリンは問いかける。が、クリスはふるふると首を左右に振り、大きくため息をつきながら訂正する。
「臭う、ではなく匂うです。漢字が違います」
「変なところで日本語が通じやがるな。いや、おれ……私ら転生者の間だけか?」
「おそらくは。それは置いておいてですね。朝起きたリンさまの体臭は寝汗もあって非常に良い匂いがするのです」
くんくんと風呂上がりの自身の腕の臭いを嗅いでみるが分かるはずもない。
「臭くないんなら良いんじゃないか?」
「いえ。とても猛る良い匂いですので性的な意味で危険かと」
「?危険?」
「はい。リンさまの寝汗を吸ったネグリジェ一つあれば。朝までパーリー余裕です」
「ぱーりー?あぁ、自慰の事か?お前さ、前世も女なんだから少しは言葉を選べよ」
クリスの説明に裸で彼女の前に立つリンは、複雑そうに眉を顰めて言う。
「この国でレズはお前位だろ?なら問題ないだろ?」
「……男性にも効果があります」
「あん?インポどもにか?」
思わず振り返るリンに、クリスはバスタオルでじっくりと身体をまさぐ……拭きあげながら頷いて返す。
「ライト様に寝汗の染み込んだハンカチをお渡ししましたところ、前屈みで歩いてらっしゃいました。精通は夢精のようですし、男性機能に問題ないのは目出たいことですね」
「なにやってんだよ、お前」
「使用済みショーツをプレゼントするのは性癖が歪みかねないので止めておきましょう」
「本当に、何やってんだよ、お前」
心底嫌そうに言葉を区切って言うリンに、クリスは幼児パンツを履かせながらニコニコと笑う。
「この世界では女に興味を持ち、自慰の出来る男性は貴重ですよ?」
「分かってるけど、私はマズいだろ?」
「こちらでは精通と初体験は家族の手で行われるのが常ですが?」
「そうじゃない!!」
首を傾げるクリスにリンは強く叫ぶ。
「あいつにはちゃんとした同世代の女に興味を持ってもらいたいんだ」
ふくらみの全くない胸を強く叩き、確かに言い切った。
「結婚できる年齢で身長120行ってないような姉に興奮しちゃあ駄目なんだよ!」